[P54-3] 稀な体静脈、肺静脈還流異常症の2例
キーワード:成人先天性心疾患, 右上大静脈左心房還流, 部分左肺静脈還流異常症
【目的】部分肺静脈還流異常症は比較的多く経験する疾患であるが、多くは右肺静脈の還流異常であり上大静脈や右心房に還流する。今回稀な体静脈、肺静脈還流異常症の2例を経験したので報告する。【方法】症例1)39歳男性、診断は部分左肺静脈還流異常症。生来健康、38歳時に健診にて心拡大を指摘。心エコーにて右心系の拡大を認めるが、明らかな短絡路を指摘されず。39歳時に人間ドックで心臓MRI施行し、左上肺静脈が無名静脈に還流していた。精査にて肺血流・体血流比が1.65であり、手術となった。胸骨正中切開、人工心肺使用、心停止下に手術を行った。左上肺静脈を無名静脈流入部まで十分に剥離した。左心房も小さく十分な吻合口及び長さを確保するため無名静脈も一部含み左上肺静脈を切離した。無名静脈の欠損部は心膜パッチで補填した。術中左上肺静脈圧は5mmHgであった。現在術後8か月、問題なく経過している。症例2)16歳女性、診断は右上大静脈左心房還流、部分肺静脈還流異常症。幼少期に心雑音を指摘されたが、検査にて異常なしと診断された。高校入学時の検診で心拡大指摘され精査にて静脈洞型心房中隔欠損症、部分肺静脈還流異常症と診断された。手術所見では、右上肺静脈が上大静脈に還流しているが、上大静脈は左心房に還流していた。右上肺静脈流入部より上方の上大静脈を離断し右心房側を閉鎖した。上大静脈と右心房の間を人工血管にて間置した。静脈洞型心房中隔欠損は心膜パッチにて閉鎖した。現在術後2年、両静脈狭窄所見なく経過している。【結語】比較的稀な体静脈、肺静脈還流異常の2例を経験したので報告した。稀な疾患ではあるが、診断や手術に際しては注意を要する。