[P56-3] 小児病院と成人施設との医療連携
Keywords:成人先天性心疾患, 医療連携, カテーテル治療
【背景】先天性心疾患(CHD)は、生活の質(QOL)の改善と、成人期に達した患者さんの管理・循環器内科への移行が今後の問題である。埼玉県立小児医療センター(C)は、連絡通路で繋がるさいたま赤十字病院(A)との連携により、成人先天性心疾患(ACHD)の移行医療に取り組んでいる。その現状・問題点について報告する。【外来連携】(A)循環器内科の医師がACHDの研修を受け、ACHD専門外来を行なっている。問題は、染色体異常など精神運動発達遅延のある患者さん、様々な社会的背景のある患者さんの移行である。最初は完全に移行せず、両病院で併診するなどの方法を摸索している。【検査の連携】成人施設ではCHDのMRI検査は、時間的余裕・解析ソフト・検査技師の慣れ、などの問題がある。詳細な解析が必要な場合は、成人症例を(C)で実施する場合がある。【カテーテル治療・検査】心房中隔欠損(ASD)のカテーテル治療を行う施設は、施設基準を満たす必要がある。大学病院以外の循環器内科で、この基準を満たすのは困難な場合が多い。従って、成人のASD治療は(C)の血管撮影室で行い、その後管理は(A)で行う体制を構築した。連携で最も問題となったのは、カテーテル治療の合併症に対する対応であった。脱落などの合併症に対する対応は(A)で行うことになり、治療日は緊急手術に対応できる体制(定時手術の内容の考慮)を(A)にお願いした。またカテーテル検査は、相互の得意分野で協力し合っている。【外科手術】18-20歳を超える患者さんの手術は、原則(A)で行なっている。心内構造などを考慮して、必要に応じて(C)の心臓血管外科医師が応援に行っている。【今後の展望:】ACHD外来は現在循環器内科医師一人であり、さらなる人材育成が必要である。また、循環器内科のみならず、産科・脳神経外科など複数科との連携が必要であり、成人先天性心疾患センターの開設が望まれる。