[P57-2] 心臓外科を有さない総合周産期母子医療センターにおける小児循環器医の役割
Keywords:胎児診断, 心室中隔欠損, 総合周産期
【背景】総合周産期母子医療センターである当院は、心臓外科を有さず外科的医療を要する場合は近隣の病院へ転送が必要であり、迅速な対応が予測される児の抽出が重要である。【目的】緊急的外科治療に対応できない病院における小児循環器医の役割を明らかにする。【方法】2018年1月から2019年12月の2年間で当院小児循環器外来を受診した児を後方視的に検討した。【結果】VSDを除く明らかな心疾患が胎児エコーで見つかった場合は心臓外科を有する施設へ紹介とした。院内出生数は6017名であった。胎児診断で心疾患が疑われ他院へ紹介となった例は40例であった。川崎病を除く小児循環器外来新患数は195名で149名が院内からの受診で胎児診断・新生児回診での有症状児が122名(VSD50名うち25名が筋性部型、PDA25名、PS 20名、不整脈12名、肺高血圧5名、TOF2名、その他6名)、院内乳幼児健診での心雑音・不整脈27名、他院からの紹介は46名だった。外来フォロー中にVSD8名とTOF2名は心臓外科がある施設へ紹介とし希望により当院と併診としたがTOF1名は外来フォロー中に自宅で突然死した。NICUから退院せずに心疾患治療目的で転院となったのは10名で未熟児PDA3名、CoA2名(13trisomyと21trisomy各1名)、TOF1名、Ebstein1名、肺動脈閉鎖1名、DORV+PDA1名、心筋症疑い1名だった。出生直後に心疾患に伴う人工呼吸管理・緊急手術目的での転送症例はいなかった。全出生数の約2%が小児循環器外来を受診し0.3%が手術もしくは適応評価のため他施設紹介となった。【考察】胎児エコーにより外科手術適応症例と非適応症例の鑑別が的確に行われ心臓外科を有さない病院における出生後の管理に有用であった。頻度の多いVSDに対して三次医療機関へ紹介するタイミングの見極めが一番重要なタスクである。