[P58-2] 当院フォローアップ中の小児期発症I/HPAH患者における持続静注用カテーテルトラブルの検討
Keywords:肺動脈性肺高血圧, カテーテルトラブル, 静注プロスタグランジン製剤
【背景】重症I/HPAH患者に対する静注プロスタグランジンI 2製剤の持続投与は有効な治療法だが、カテーテルの長期留置に伴うトラブルにより状態の悪化を生じるリスクが存在する。【目的】持続静注用カテーテルのトラブルの発生状況や原因を把握し、その予防策について検討すること。【方法】当院への入院歴(2013年1月~2020年2月)がある小児期発症I/HPAH患者のうち静注プロスタグランジンI 2製剤の持続投与症例を対象とし、発生したトラブルの詳細について診療録を用いて後方視的に検討した。カテーテルトラブルについては、入れ替えを要する感染、破損、カフの露出、事故抜去を対象とした。【結果】持続静注のためカテーテルを留置している患者は5人、初回留置時の年齢は10~14歳(中央値12歳)だった。男子3名、女子2名だった。留置後のフォローアップ期間は1年0ヶ月~7年1ヶ月(中央値4年10ヶ月)であり、カテーテル入れ替えを要したのは、1回が4人、3回が1人だった。原因としては閉塞が1件、カテーテルの破損が1件、自宅での事故抜去(着替え中)が1件、明らかな刺入部からの感染が2件、カフの露出が2件だった。カテーテル留置からトラブルまでの期間は最短192日、最長1324日(中央値796日)だった。トラブル時(抜去時)はいずれも可及的速やかに医療機関で末梢ルートからの投与に変更しており、全身状態の悪化を認めた症例はいなかった。【考察】カテーテルは長期留置の必要があり、一定頻度でトラブルが起こることは避けられない。トラブルの多くは、留置型カテーテルのカフが皮下組織に十分に癒着しなかったことが原因である。長期肺高血圧治療中の若年者はカフが皮下に癒着しにくい可能性がある。【結論】小児肺高血圧症例での長期留置型カテーテルは通常よりもトラブルが起こりやすい可能性がある。注意深い管理と、トラブル時の対処法の確認が重要である。