[P63-2] 喀血に対して介入を行った先天性心疾患の検討
Keywords:喀血, APCA, PVO
【背景】先天性心疾患には時に喀血を合併することがあるが、原因は様々である。軽症例では保存療法で軽快するが、重症例では致死的となり得るため、正確な診断と速やかな介入を必要とする。【対象と方法】2008年12月から2019年3月までに喀血に対して当院でカテーテル治療または手術介入を行った7例について、喀血の原因・治療成績について後方視的に検討した。【結果】初回治療時の年齢は0.5歳~43歳(中央値8歳)、診断の内訳は、術後症例が4例(TOF,DORV,TGA,CAVSD各1例),未手術TOF,気管支動脈蔓状血管腫、rt.PV absence +lt.PVOが各1例ずつであった。喀血の原因としては、APCA5例、PVO2例であった。それらに対する治療介入は、APCAに対してはコイル塞栓が4例、スポンゼルでの塞栓が1例で、内4例は喀血コントロール可能であった。一方、生後7ヶ月の気管支動脈蔓状血管腫の症例は2度コイル塞栓術を施行したが、massiveなAPCAのため、喀血をコントロールできず、死亡した。PVOに関しては、DORV術後のlt.PVOの症例で大動脈の吊り上げ術が有効であった。rt.PV absence+lt.PVOの1例はPVOに対するPTAを繰り返し、lt.PVOに関してはある程度解除が得られた。一方、右肺からの大量出血があり、RPAのコイル塞栓を行い、喀血はコントロールできたが、最終的には肺障害で死亡した。【まとめ】重症な喀血を認めた症例の中には術後遠隔期の安定した時期に喀血を認めた症例が散見された。喀血は先天性心疾患の術後遠隔期の合併症の1つとして念頭に置く必要がある。造影CT検査やカテーテル検査は喀血後早期に施行することで出血部位を同定できる可能性があり、特にカテーテル検査では同時に責任血管を塞栓することもできることから有用と考える。一方、PVOに起因する喀血はPVOの解除が基本であり、手術またはカテーテル治療が必要とされる。喀血の原因は様々であり、病態に合わせて適切な治療選択を行う必要がある。