[P65-2] サイトカインプロファイルが診断に有用であったマクロファージ活性化症候群を合併した川崎病の1例
Keywords:川崎病, マクロファージ活性化症候群, サイトカインプロファイル
【背景】川崎病と全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)は多くの共通する臨床像を呈するため鑑別困難な場合がある。また、マクロファージ活性化症候群(MAS)はs-JIAに高率に合併するが川崎病における合併率は約1%と稀であり、MAS合併川崎病の症例においてs-JIAを否定することは容易ではない。【症例】1歳時に川崎病既往歴のある7歳男児。入院時、発熱6日目で川崎病主要6症状全てを認める他、フェリチン1246 ng/mlと著明高値でありMAS診断基準も満たしていた。関節症状は認めなかったがフェリチン著明高値と白血球低値等からs-JIAを否定できず鑑別は困難であった。入院後アスピリンとウリナスタチン投与を開始し、第7病日に免疫グロブリン(2g/kg)を投与したが解熱せず症状も改善しなかった。第9病日に実施した骨髄検査では悪性所見は認めず、明らかな血球貪食像も認めなかった。同日からメチルプレドニゾロンパルス療法を開始したところ速やかに解熱し川崎病症状も消退した。サイトカインプロファイルではIL-18は軽度上昇のみでs-JIAは否定的である一方、IL-6、neopterin、sTNF-R IIが中等度以上の増加を示し川崎病に矛盾しない所見であった。メチルプレドニゾロンパルス3日間と後療法としてプレドニゾロンを継続し、症状および異常検査値は順調に改善した。第25病日に退院し発症から3か月が経過したがs-JIAを示唆する所見は認めず、MASを合併した川崎病と判断している。経過中に冠動脈病変は認めていない。【考察】川崎病とs-JIAの鑑別は困難であるが、適切な治療介入が遅れた場合、川崎病では冠動脈病変合併のリスク、s-JIAではMASによる致死的な経過を辿るリスクがある。本症例も川崎病発症早期からMASを合併し鑑別に難渋したが、サイトカインプロファイルが診断に非常に有用であった。