[P66-2] 当院で経験した川崎病年長児発症例の臨床像
Keywords:冠動脈瘤, 頚部リンパ節炎, 腹腔内リンパ節炎
【背景】川崎病の発症年齢は1歳前後にピークがあり、年長児発症は好発年齢から外れていることや年少児発症と異なる臨床症状を示し、診断・治療開始が遅れる傾向にある。
【方法】9歳以上で川崎病を発症した患者について、診療録から後方視的に検討した。
【結果】2008年1月から2019年12月までに当科に入院した川崎病発症患者495例のうち、9歳以上の発症者数は19例(3.8%)で、うち男児は9例(47.4%)であった。主要症状が5つ以上の定型例は12例(63.2%)で、発熱以外の主要5症状のうち、両側眼球結膜の充血、口唇・口腔所見、頚部リンパ節腫脹はそれぞれ89.5%、94.7%、94.7%と高頻度に認めたが、不定形発疹(52.6%)、四肢末端の変化(57.9%)は頻度が低かった。主要症状以外に頚部痛、腹痛、頭痛を各10例(52.6%)に認め、下痢(31.6%)、嘔吐(26.3%)が続いた。当初の診断として化膿性頚部リンパ節炎が5例(26.3%)、伝染性単核球症が3例(15.8%)、細菌性腸炎・腸間膜リンパ節炎が2例(10.5%)であった。川崎病の診断(治療開始)病日は平均5.4±1.7日で、初期治療としてフルルビプロフェン内服のみで軽快した1例以外の18例でIVIG療法とASA(肝障害例はフルルビプロフェン代替)併用療法を行った。8例(42.1%)で2ndライン治療(IVIG再投与7例、IFX1例)を要し、さらに3例(15.8%)で3rdライン治療(IFX)を要した。血漿交換を実施した例はなく、全例が冠動脈後遺症なく退院した。
【考察】年長児では不全型の割合が多い傾向にあり、主要症状以外の症状として頚部痛、消化器症状が多く、化膿性頚部リンパ節炎、細菌性腸炎・腸間膜リンパ節炎として抗菌薬治療を開始した症例が多く、川崎病の初期治療に対する反応不応例が多かった。過去の報告と比較して当院は年長児例の診断(治療開始)病日が早く、抗菌薬治療開始後も発熱が持続する場合は川崎病を疑い、早期に治療介入することで良好な予後が得られる可能性がある。
【方法】9歳以上で川崎病を発症した患者について、診療録から後方視的に検討した。
【結果】2008年1月から2019年12月までに当科に入院した川崎病発症患者495例のうち、9歳以上の発症者数は19例(3.8%)で、うち男児は9例(47.4%)であった。主要症状が5つ以上の定型例は12例(63.2%)で、発熱以外の主要5症状のうち、両側眼球結膜の充血、口唇・口腔所見、頚部リンパ節腫脹はそれぞれ89.5%、94.7%、94.7%と高頻度に認めたが、不定形発疹(52.6%)、四肢末端の変化(57.9%)は頻度が低かった。主要症状以外に頚部痛、腹痛、頭痛を各10例(52.6%)に認め、下痢(31.6%)、嘔吐(26.3%)が続いた。当初の診断として化膿性頚部リンパ節炎が5例(26.3%)、伝染性単核球症が3例(15.8%)、細菌性腸炎・腸間膜リンパ節炎が2例(10.5%)であった。川崎病の診断(治療開始)病日は平均5.4±1.7日で、初期治療としてフルルビプロフェン内服のみで軽快した1例以外の18例でIVIG療法とASA(肝障害例はフルルビプロフェン代替)併用療法を行った。8例(42.1%)で2ndライン治療(IVIG再投与7例、IFX1例)を要し、さらに3例(15.8%)で3rdライン治療(IFX)を要した。血漿交換を実施した例はなく、全例が冠動脈後遺症なく退院した。
【考察】年長児では不全型の割合が多い傾向にあり、主要症状以外の症状として頚部痛、消化器症状が多く、化膿性頚部リンパ節炎、細菌性腸炎・腸間膜リンパ節炎として抗菌薬治療を開始した症例が多く、川崎病の初期治療に対する反応不応例が多かった。過去の報告と比較して当院は年長児例の診断(治療開始)病日が早く、抗菌薬治療開始後も発熱が持続する場合は川崎病を疑い、早期に治療介入することで良好な予後が得られる可能性がある。