[P68-2] カンジダ細胞壁多糖誘導川崎病血管炎マウスモデルにおける血管炎誘発物質接種後の血清サイトカインの経時的変動
キーワード:Kawasaki disease, Candida, animal model
川崎病は血管炎症候群に含まれる小児の急性熱性疾患である。我々は川崎病血管炎の病態解明や有効性のより高い治療法の確立を目指し、Candida albicansの細胞壁多糖を用いた川崎病類似マウス系統的血管炎誘発モデルの病態解析を続けている。C. albicansの細胞壁多糖をマウス腹腔内に5日間連続接種し、接種終了後28日でマウスを犠牲死させると冠状動脈をはじめとする中型動脈や大動脈に好中球やマクロファージを主体とする炎症細胞浸潤が惹起される。血管炎誘発物質中の糖鎖の主成分はマンナン、βグルカンである。αマンナン受容体であるデクチン2は自然免疫受容体のひとつとして知られており、この遺伝子を欠損したマウスは血管炎を発症しない。すなわち本モデルの血管炎発症には自然免疫系の活性化が関与していると考えられる。マウス屠殺時の血清サイトカインについて検討するとTNF-αやKC/GRO等の炎症性サイトカインと血管炎との関連が示唆された。一方、Th1/Th2型サイトカインは検出感度未満かきわめて低値であった。今回は、血管炎誘発物質接種後の同一マウスにおける各種血清サイトカインの変動について検討を試みた。TNF-α、KC/GRO、IL-6等といった炎症性サイトカインについては変動の傾向を明らかにすることが困難であったが、Th1/Th2型サイトカインの上昇は乏しかった。血管炎発症への獲得免疫系の関与を支持する所見に乏しく、自然免疫系の関与を支持する結果と考えた。