The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラル(II)68(P68)
川崎病・冠動脈・血管4

指定討論者:二瓶 浩一(東邦大学医療センター大橋病院 小児科)

[P68-3] 川崎病の免疫グロブリン不応低リスク群における治療抵抗性症例の検討

高井 詩織, 松村 雄, 長原 慧, 中村 蓉子, 渡部 誠一 (土浦協同病院 小児科)

Keywords:川崎病, 免疫グロブリン, 群馬スコア

【背景・目的】現在、川崎病の標準治療は大量免疫グロブリン静注(IVIG; intravenous immune globulin)療法が主軸である。IVIG不応リスクとして群馬スコアが広く使用されているが、IVIG不応低リスク症例でもIVIG追加投与が必要になることも少なくない。今回の検討はIVIG不応低リスク群の中で追加治療が必要な症例の特徴を明らかにすることを目的とした。【対象・方法】2015年1月から2019年12月までの5年間に当院で川崎病に対し免疫グロブリン投与 (2g/kg)を行った症例のうち、群馬スコアが4点以下でかつプレドニゾロン初期併用療法を行っていない症例を対象とし、診療録を用いて後方視検討した。性別、入院時年齢、治療開始病日、川崎病症状の数、治療開始時の血清ナトリウム値・血清アルブミン値・血清C-reactive Protein (CRP)値、群馬スコア、心合併症の有無、免疫グロブリンの種類や投与時間についてIVIG追加投与と非追加投与群とで比較・検討を行った。【結果】対象となった135例中、IVIG追加投与を行ったのは31例 (23%)だった。単変量解析にてIVIG追加投与群と非追加投与群で治療前の血清ナトリウム値、群馬スコア、免疫グロブリンの種類、心合併症の有無に関連性を認めた。そこで多変量解析(重回帰分析)を行ったところ、免疫グロブリン製剤の種類は独立した追加治療が必要の規定因子であった。【総括】免疫グロブリンの製剤間での治療効果を比較した検討の報告は少ない。本検討も様々なlimitationはあるが、免疫グロブリン製剤の製剤間で治療効果が異なる可能性が示唆された。さらなる症例数の蓄積と検討が必要である。