[P68-5] 当院における川崎病に対する免疫グロブリン+プレドニゾロン併用療法の検討
キーワード:川崎病, Post RAISE, 冠動脈瘤
【背景】川崎病の主要な合併症である冠動脈瘤は標準的な免疫グロブリン療法(IVIG)の不応例で5-10%に発生する。RAISE studyではIVIG不応予測群に対して、IVIG+プレドニゾロン(PSL)を併用することではIVIG単独に比べ、初期治療不応例や冠動脈瘤を有意に抑制することが報告された。さらにPost RAISEではIVIG+PSL併用療法の効果と安全性の追試がなされ同様の結果であった。【目的】当院における免疫グロブリン+プレドニゾロン併用療法での治療効果を検討すること。【方法】対象は2015年1月1日-2019年12月31日に初回治療から当院で施行した主要症状5/6以上を満たす川崎病症例。小林スコア≧5点の患児全例(RAISE群)に対して、IVIG+PSL+アスピリン(ASA)を、小林スコア≦4点の患児全例(IVIG群)に対してIVIG+ASAを初期治療とした。RAISE群、IVIG群の2群間で治療後1ヶ月時の冠動脈病変(CAL)の合併等に関して後方視的に比較検討した。【結果】観察期間の累計症例数は138例、RAISE群は43例、IVIG群は92例だった。RAISE群、IVIG群の順に初期治療不応例8例(18.6%)、7例(7.6%)、CAL合併例8例(18.6%)、8例(8.6%)という結果だった。全症例で巨大冠動脈瘤(Z score≧10)の合併を認めなかった。RAISE群において診断時と比較したCALの増悪を認めなかった。死亡例や重篤な合併症例を認めなかった。【考察】初期治療結果に差が生じたことはIVIG群治療数の僅少に起因する可能性が高い。今後、症例の蓄積を重ね検討を進める予定である。しかし、単独施設の結果ではあるが、治療抵抗性と重症度の高い症例においてRAISE群に巨大冠動脈病変を合併した症例はなく、有効な初期治療と考えた。【結論】IVIG不応予測スコア高値症例に対するIVIG+PSL治療の安全性を確認した。