[P70-2] 自然退縮・閉鎖した2例を含む、乳幼児期に発見された先天性冠動脈瘻の4例
Keywords:冠動脈瘻, 冠動脈拡大, 冠動脈瘤
【背景】冠動脈瘻(CAF)は先天性心疾患の0.2~0.4%と希少な疾患である。短絡量が少ない例では早期治療を要さず、自然閉鎖する例も報告されているが、多い例(Qp/Qs>1.3)、有症状例、冠動脈(CA)拡大・瘤を認める例では早期治療が推奨される。その他のCHDを伴わないCAF4例について検討。【症例1】7歳女児。1ヵ月時に心雑音を指摘。心エコー検査(TTE)で右冠動脈(RCA)から起始し右房に流入するCAFと診断。3歳時カテーテル検査でQp/Qs=1.15、RCA拡大残存(Z-score:13.8)を認め手術施行。術後カテーテル検査でCAF閉鎖、RCA拡大(Z-score:10.4)を認めた。【症例2】9歳男児。8ヵ月時に心雑音を指摘。TTEでそれぞれRCAと左前下行枝(LAD)から起始し、右室(RV)に流入するCAFと診断。4歳時カテーテル検査でQp/Qs=1.13、RCA拡大(Z-score:4.9)、LAD拡大(Z-score 6.2)を認め、手術施行。術後カテーテル検査でCAF閉鎖、CA拡大改善(Z-score:RCA 2.3 LAD 2.3)を認めた。【症例3】6歳男児。1歳時に川崎病に羅患しRCA拡大を指摘。精査のカテーテル検査でRCAから起始しRVに流入するCAFを認めた。Qp/Qs=1.12、RCA拡大(Z-score:5.42)を認めた。経過中TTEでCAF描出困難となり、6歳時カテーテル検査でCAF閉鎖を確認、RCA拡大改善(Z-score:2.45)を認めた。【症例4】6歳男児。2歳時に心雑音を指摘。TTEでLADから起始しRVに流入するCAFと診断。カテーテル検査でQp/Qs=1.31、RCA低形成、LADからの2本の異常血管起始、LAD拡大(Z-score:4.8)を認めた。RCA低形成の為、治療介入せず経過観察していたが、6歳時に心雑音消失、TTEでCAF描出困難となり、カテーテル検査で異常血管1本閉鎖、残る1本も退縮を認め、Qp/Qs=1.05と減少。【結果】CAF4例の内、2例で自然退縮・閉鎖し、その内1例は短絡量が多い例であった。【結語】CA拡大(Z-socre≧3)、また比較的Qp/Qsが多い例でも自然退縮・閉鎖例を経験した。CAFの治療介入時期については十分な検討が必要である。