The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

学校保健・疫学・心血管危険因子

デジタルオーラル(II)73(P73)
学校保健・疫学・心血管危険因子2

指定討論者:本村 秀樹(国立病院機構長崎医療センター 小児科)

[P73-2] 学校心臓検診で異常を指摘されなかった蘇生に成功した心原性院外心肺停止の2学童例

仲本 雄一1, 山田 俊介1, 岡崎 三枝子2, 豊野 学朋1 (1.秋田大学 医学部 小児科, 2.秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター)

Keywords:院外心肺停止, 初期対応, 学校心臓検診

【背景】学校心臓検診 (HDS) の目的の1つは心臓突然死 (SCD) を予防することであるが、全疾患を発見することは困難である。心停止 (CA) に対する初期対応の重要性を示す蘇生に成功した心原性院外CAの2例を提示する。【症例1】13歳、男子。過去のHDSで異常なし。水泳の授業中、プールサイドで失神した。教員による救急隊・人員確保・AED要請後、胸骨圧迫が開始された。AED装着後、除細動が実施された。救急隊が到着し頸動脈拍動を確認した。来院時、代謝性アシドーシス、低カリウム血症、QT延長を認めた。以後、神経学的後遺症が明らかでないこと、持続するQT延長が確認された。中学1年時の学校心臓検診で記録された安静時12誘導心電図では補正QT時間0.42であった。顔面冷水負荷と運動負荷でいずれも補正QT時間の延長 (0.53, 0.49) を認めた。遺伝子解析でKCNQ1, SCNA5の変異を認めた。現在、管理指導区分D禁とアテノロール・グルコン酸カリウム内服で復学している。【症例2】9歳、男子。過去のHDSで異常なし。就学後に計3回の運動時失神があり諸検査で異常所見を認めないとされたが、循環器超音波検査は実施されなかった。屋外で遊んでいるときに失神し、友人が看護師の母を呼びに行き、胸骨圧迫が開始された。救急隊到着後AEDが装着され除細動が実施された。来院後、超音波検査で左室心筋緻密化障害が確認されアミオダロン内服が開始された。左室機能低下を認めず、運動負荷試験でも不整脈誘発や心筋還流障害を認めなかった。以後、神経学的後遺症が明らかでないこと、全身性疾患を伴わないことが確認された。植込み型除細動療法、次いでAED購入を推奨したが、いずれも両親の同意が得られていない。現在、管理指導区分C禁で復学している。【結論】小児SCDの更なる減少に向けて、HDSに加え、CA初期対応の重要性を示す事象と考えられた。