[P73-4] 肺高血圧症の発見に学校心臓検診心電図検診は有用か?
キーワード:学校心臓検診, 肺高血圧, ガイドライン
【はじめに】学校心臓検診心電図検診において心電図肥大所見は、容量負荷を来す先天性心疾患、心筋症発見に重要とされる。この基準が、肺高血圧症(PH)発見に有用かを検討した。【方法】当院で経験したPH2症例について心電図検診基準が有用であるかを検討した。2016年から2019年の大津市学校心臓検診で発行された心臓病管理指導表をもとに肥大所見の現状、取扱いについて検討した。【結果】症例1:10歳男児。母親が特発性PHで死亡。小学校1年生の学校検診心電図で右室肥大(RVH)を疑われるも精査されず。4年生時に近医で心雑音指摘され、心エコーでRVH、推定右室圧80mmHg、PHと診断された。症例2:5歳6か月男児。出生時以降、心臓の異状を指摘されたことはない。5歳6か月に発熱で当科初診、肺炎の診断で入院した。症状軽快後も、動脈血酸素飽和度が80%程度しかなく、心エコーにより、Eisenmenger化したVSD I型と診断した。心電図は右室肥大であった。大津市学校心臓検診で心肥大で要精査となったのは小学生で0.2-0.3%、中学生で0.4%、精密検査で明らかな心肥大を指摘されたものはなかった。大半は精検時点で正常と診断され、管理不要となっていた。【考察】学校心臓検診のガイドラインでは心室肥大は点数加算により判定される。「肥大」「肥大の疑い」の基準は存在するが、要精査か精査不要か、管理不要か経過観察かなどの基準はない。PHは予後不良の疾患であり早期発見が重要である。肥大所見は経年的に進行する可能性があることから、「肥大の疑い」の場合、心エコー等で異状がなくても、E管理等で経過観察することが望ましいと考えられた。