[P74-1] 2010-2019年の当院における双胎妊娠と先天性心疾患の関係、10年間の総括
Keywords:双胎, 環境因子, 遺伝因子
【背景】先天性心疾患(CHD)の頻度は出生1000人中約8人(約0.8%)とされる。CHDの成因に関しては約30%に遺伝的要因が関与することが分かってきたが残りの60~70%において成因は不明で遺伝的要因に加え環境要因(epigenetic factors)も複雑に絡んでいると考えられており成因の同定は難しい。一卵性双胎は遺伝子が同一であるが、双胎がともにCHDを有する確率はわずか25%で二卵性双胎ではこれは6%である。【目的】双胎を調べCHDの遺伝的、環境的発生要因を臨床的に解析すること。【方法】当院における2010年1月~2019年12月までの10年間の双胎妊娠を後方視的に全例調査しCHD症例の解析を行った。【結果、考察】上記10年間で合計5430例の分娩があり、双胎214例(107組)、品胎15例(5組)を認めた。双胎例のうち、一絨毛一羊膜(MM twin)1組、一絨毛二羊膜(MD twin)40組、二絨毛二羊膜(DD twin)57組、不明9組であった。全双胎例のうち、11組14例(6.54%)にCHDを認め、CHD合併率は高かった。MM twin 1組、MD twin 5組、DD twin 5組だった。1組を除く10組が早産で全例が低出生体重児であった。11例がPDAであり早産、低出生体重の影響と思われたが、5例は片方だけPDAであり、TTTSの供血児など、より低体重の児の傾向であった。CHDの残り3例は以下で、MD twinの2例、DD twinの1例で双胎の他方にCHDを認めなかった。1)MD twin, PA/VSD, RAA+LtPDA(染色体異常なし),TTTS(供血児)、2)MD twin, VSD+AS、より高体重の児、3)DD twin, 21 trisomy, cAVSD、より低体重の児、他方は21 trisomy、CHD(-)。以上からTTTSなどで低体重(供血児)の場合に右室流出路狭窄、PDAと、逆の場合に左室流出路狭窄と関連している印象であった。【結語】双胎妊娠、TTTS、体重差はCHDとの関連が考えられた。