The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

学校保健・疫学・心血管危険因子

デジタルオーラル(II)74(P74)
学校保健・疫学・心血管危険因子3

指定討論者:太田 邦雄(金沢大学附属病院 小児科)

[P74-2] 当院において乳児期に手術介入を行った心房中隔欠損症の検討

長原 慧, 松村 雄, 中村 蓉子, 渡部 誠一 (総合病院土浦協同病院 小児科)

Keywords:心房中隔欠損症, 乳児期, 手術介入

【背景】心房中隔欠損症(以下ASD)は先天性心疾患の中でも7%を占める一般的な疾患である。乳児期は右室コンプライアンスが低く短絡量が少ないため、多くの症例では思春期までは無症状で経過し、加齢と共に運動耐容能低下や心不全、不整脈を認め問題となる。ASDは通常であれば小学校入学前後のタイミングで治療介入することが多いが、乳児期から治療介入が必要になる症例も時折経験する。乳児期に手術が必要となるような症例の特徴を明らかにすることをこの研究の目的とした。【方法】2015年1月から2019年12月までに当院を受診したASD52例の診療録を後方視的に振り返った。検討項目は年齢、性別、基礎疾患の有無、心臓超音波検査で心房中隔欠損の箇所、大きさ、心内構築異常の合併の有無、初診時の心電図検査所見を検討した。【結果】症例は全部で52症例、明らかな卵円孔の症例や他院でフォローされている症例は除外したところ31例が対象となった。男女比は14:17であった。心臓カテーテル検査は16例に施行されていた。そのうち乳児期に手術を施行した症例は8例であった。手術介入となった症例のQp/Qsは中央値で2.4、平均肺動脈圧は中央値で23.5であった。乳児期に手術を受けた症例とそのほかの症例において検討項目を比較したところ、欠損孔の大きさ、心内構築異常の合併、また初診時の心電図においてQRS幅の増大や右室肥大所見を認める傾向にあった。【考察・結語】早期の手術が必要になる症例では欠損孔が大きく、心内構築異常の合併を認めた。構築異常は肺動脈狭窄を代表とし、必ずしも複雑な構造異常ではなかった。また初期から心電図で右室肥大所見とQRS幅の増大を認めるという特徴があった。これらの所見を認める症例は、肺血流増多となり手術介入が早期に必要となっており注意深い経過観察が必要であると考える。