The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)79(P79)
外科治療1

指定討論者:宮本 隆司(北里大学医学部 心臓血管外科)

[P79-1] 右側大動脈弓・血管輪の4例に対する外科治療の検討

小西 隼人1, 小澤 英樹2, 勝間田 敬弘2, 蘆田 温子3, 小田中 豊3, 尾崎 智康3, 岸 勘太3, 根本 慎太郎1 (1.大阪医科大学附属病院 小児心臓血管外科, 2.大阪医科大学附属病院 心臓血管外科, 3.大阪医科大学附属病院 小児科)

Keywords:血管輪, 右側大動脈弓, 動脈憩室

【背景】血管輪は大動脈弓や頸部分枝が気道・食道の周りを取り囲むことによって圧迫症状が出る先天性奇形である。中でも両側大動脈弓や右側大動脈弓に左鎖骨下動脈起始異常や左動脈管、動脈憩室の形成などが原因で呼吸器・消化器症状を呈するものが治療の適応となることが多い。しかし、症例によっては不顕性に病状を呈していることもあり、その加療のタイミングにまでは特に一定のコンセンサスはない。【目的】自験例の4例を示し外科治療のタイミングを検討する。【方法】当院外来フォロー中の4例の右側大動脈弓患者(年齢は1歳、3歳、6歳、8歳)。全例心内奇形なし。3例が左鎖骨下動脈起始異常を認め(Edwards 3b)、1例が鏡像的分枝(Edwards 3a)であった。【結果】全例で生下時にvascular ringの診断を受けるも嚥下障害や呼吸障害が無く、経過観察となっている。2例で1歳時から感冒が長引くことや食事のつっかえ等あり、1例は外科的手術(血管輪解除)となり、1例は気管支鏡検査予定である。2例は6歳と8歳の患児。無症状であったが、1例で気管支鏡を施行すると左気管狭窄・気管軟化症を認め待機手術となった。残り1例は気管支鏡等を待機している。【考察】血管輪は長期的に症状を呈さない場合もある。しかし、本症例のように不顕性の気管軟化症を認めることもあり、結果的に手術介入を要する場合がある。また右側大動脈弓や動脈憩室が成人期に急性大動脈症候群を呈し、動脈憩室には中膜嚢胞壊死などの病理所見を伴うこともある報告も散見される。【結論】血管輪の患児では、無症状であっても段階的に食道造影や気管支鏡等を予定し、一期的根治術ができる時期に手術介入が望ましい。また大動脈形態によっては動脈憩室を呈する場合もあり、CT・MRI等のフォローも長期に必要である。文献的考察を踏まえて提示する。