[P79-2] 大動脈縮窄症に対するsubclavian flap法の大動脈弓形態による検討
Keywords:大動脈縮窄, subclavian flap, 適応
【目的】大動脈縮窄症に対するsubclavian flap angioplasty(SFA)法は大動脈縮窄(CoA)部のみを拡大する術式のため、distal arch径が小さい症例への適応は明らかでなく、術前後の大動脈弓形態の検討を行った。【対象・方法】大動脈縮窄症に対してSFA法を施行した2013年以降の10症例。手術時日齢10.1±4.5日、体重2.3±0.5kg。全て大動脈縮窄複合症例であり、PABを同時施行した。術前にdistal arch径が体重+1mmより小さいものをhypoplastic arch(Meeら)とし、術後のdistal arch径/下行大動脈(DAo)径比(distal arch比)またはCoA径/DAo径比(CoA比)が0.6以下を術後狭窄ありとした。【結果】造影CTにて術前のdistal arch径3.9±1.4mm、distal arch比 0.62±0.14、CoA径2.5±1.8mm、CoA比0.41±0.08、CoA長5.6±2.6mmで、CoAにDAoまでのPDA部分を加えた長さ8.5±1.9mm、左鎖骨下動脈(LSCA)長9.7±2.5mmであった。SFA術後はdistal arch 比0.79±0.11(p=0.008)、CoA比0.70±0.20(p=0.002) で、CoA部のみでなくdistal archも有意に拡大していた。distal archに術後狭窄はなかったが、CoA部に2例で術後狭窄を認め、バルーン拡大術を施行した(狭窄部エコー流速3.5と2.0m/s)。このCoA部術後狭窄の2例においてのみ、CoA+PDA部分の長さがLSCA長より長く、術後狭窄の関連因子と考えられた。低体重と術後狭窄との関連はなかった。またhypoplastic archを3例(体重+0.2~0.8mm)認め、そのdistal arch比は0.43~0.52と小さかったが、SFA術後には同比が0.7~0.98まで大きくなっており、CoA部分の血流改善に伴いdistal archも成長が得られたものかと考えられた。【結語】今回distal arch径は体重+0.2mm以上でSFA法を行ったが、全例で術後に許容範囲以上の成長が得られていた。また術後大動脈弓狭窄をきたさないために、CoA+PDA部分がLSCAより短いことが必要と考えられた。