The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)79(P79)
外科治療1

指定討論者:宮本 隆司(北里大学医学部 心臓血管外科)

[P79-3] 大動脈弓離断B型の治療経験

野間 美緒1, 平野 暁教1, 山本 裕介1, 吉村 幸浩1, 寺田 正次1, 永峰 宏樹2, 宮田 功一2, 大木 寛生2, 前田 潤2, 三浦 大2 (1.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科, 2.東京都立小児総合医療センター 循環器科)

Keywords:IAA type B, LVOTO, re CoA

【はじめに】大動脈弓離断B型(IAA type B)は発生学的に左第IV咽頭弓動脈の閉塞によるとされ、左室流出路狭窄(LVOTO)をきたしやすいことが知られている。本邦ではIAA全体の約30%と比較的まれで、治療を経験することが少ない。【目的】当院におけるIAA type Bに対する治療の現状について、とくに術後のLVOTO、再建後大動脈の狭窄(re CoA)について評価し、課題を明らかにする。【対象と方法】2010年~2019年に、当院において初回手術を行ったIAA type Bについて、診療録より後方視的に調査した。【結果】女児6例、男児2例。VSDは全例outlet(perimembranous 5例、muscular 3例)に伸展し、総動脈幹を伴ったもの(Van Praagh分類A4)が1例あった。大動脈弁は6例で2尖弁であった。22q11.2欠失は5例で確認され、右鎖骨下動脈起始異常は3例に認めた。初回手術前に人工呼吸管理となったものが7例、そのうち4例で低酸素療法を要した。初回手術として両側肺動脈絞扼術(bil.PAB)を選択したものが5例あった。大動脈弓再建時には、左室流出路~大動脈弁~上行大動脈にかけての狭小化に応じて、心筋切除による左室流出路拡大を行ったものが1例、Damus-Kaye-Stansel吻合(DKS)によるLVOT bypassを行ったものが2例あった。6例でパッチを用いない直接端端吻合(EEA)が行われた。遺残・続発病変に対する術後介入は、大動脈弁に対し2例、re CoAに対し1例でバルーン拡張術(BA)が行われた。また、両側肺動脈狭窄(PPS)に対するBAが4例で複数回行われた。死亡は2例で、新生児期に一期根治を行った1例を術後急性期に、もう1例を根治術後1年に自宅で失った。生存6例の観察期間の中央値は5.3年で、NYHAIIで経過していた。【まとめ】限られた経験であるが、LVOVO、re CoAに対する再介入の頻度は高くなく、経過はおおむね良好であった。bil.PABの影響と考えられる両側PPSに対するBAが頻回で、今後の課題と考えられた。