The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)79(P79)
外科治療1

指定討論者:宮本 隆司(北里大学医学部 心臓血管外科)

[P79-4] CoA/IAA complexに対する段階的手術としての両側肺動脈絞扼術の妥当性の検討

安達 理, 水本 雅弘, 正木 直樹, 崔 禎浩 (宮城県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:bilateral pulmonary artery banding, CoA, IAA

【背景】HLHSに対するrapid two-stage戦略がNorwood手術の成績向上に寄与していることには一定のconsensusがある。当院では複雑な病態や低体重児、genetic anomalyを有するCoA/IAA complexに対して両側肺動脈絞扼術(bPAB)の後arch repairをする方針を取っている。【目的】CoA/IAA complexに対するbPABによる段階的手術の妥当性を検討する。【方法】2013年以降CoA/IAA complexでbPABの後arch repairを施行した13例(TS群)を同時期の一期的arch repair施行16例(PR群)と比較検討した。古典的HLHSは除外した。【結果】CoA/IAAに合併する疾患として、TS群はDORV5(内Taussig Bing2), AVSD3, SV3, APW2, Shone1、PR群はVSD12, DORV2, TGA1, AS1。 TS群のbPAB時体重は2.4(2.3-2.8)kgでbPABの手術死亡なし。1例にrebandingを要した。TS群のarch repairはbPAB後50(40-56)日後に行われ、その間に0.5(0.4-0.8)kgの体重増加が得られた。Arch repair時の日齢・体重はTS群 56(46-63)日・3.0(2.8-3.3)kg 、PR群 7(3-11)日・3.2(2.8-3.5)kg。Arch repair時の併施手術として、TS群ではPAB 6, Norwood/DKS 4, APW repair 2, VSD closure 1、PR群ではVSD closure 12, PAB 3, AoV plasty 1であった。bPAB部の拡大を要した症例なし。arch repair時の手術死亡:TS群2(15%, PAB後high flow1, Norwood後MOF1)、PR群1( 6%, 縦隔炎)でp=0.57。挿管日数:TS群4(4-6.5)日 , PR群5(4-9.5), p=0.80。PD/CHDF施行期間:TS群 2.5±1.8日 , PR群 5.5±1.6日, p=0.45。re-CoAに対するintervention:TS群2(15%)、PR群 1(6.3%), p=0.57。気道狭窄:TS群1(遠隔期発症), PR群 1, p=0.95。脳MRIで有所見:TS群67%, PR群60%, p=0.82【考察】TS群はPR群に比し複雑な病変が多く、低体重であったがbPABは弊害なく行われ、arch repair時の併施手術は複雑なものが多かったにも関わらず手術死亡、周術期、遠隔期合併症はPR群と同等であった。この戦略は妥当と思われる。