The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)81(P81)
外科治療3

指定討論者:岡 徳彦(群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

[P81-1] 当院におけるファロー四徴症の肺動脈弁輪温存に関する検討

細田 隆介, 永瀬 晴啓, 保土田 健太郎, 枡岡 歩, 鈴木 孝明 (埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

Keywords:ファロー四徴症, 弁輪温存, transannular patch

【背景】ファロー四徴症(ToF)の外科的治療において、当院では肺動脈弁輪径(PAVD)のZ-valueを参考に弁輪温存での乳児期心内修復術を行ってきた。【目的】当院で施行したToFの乳児期心内修復術が78例、うち弁輪温存を選択した33例を対象とし、臨床成績の比較検討を行い、その臨床成績を明らかにすること。【方法】弁輪温存を選択した症例の中で、術後に右室流出路に対して再手術が必要となった症例をA群(n=6)、再手術が必要なかった症例をB群(n=27)とし、後方視的統計解析を行った。【結果】手術時の平均体重はA群 6.45±0.91kg、B群 6.56±1.45kg(p=0.81)と有意差を認めなかったが、手術時年齢でA群 5.17±0.99ヵ月、B群 7.40±2.36ヵ月(p=0.0015)と有意差を認めた。術前に無酸素発作を認めたのがB群のみ5例、術前シャント症例もB群のみ4例であった。術前の心エコー検査において、PAVDはZ-valueでA群 -2.09±0.60、B群 -1.67±1.03(p=0.21)、A群 63.5±10.2% of normal、B群 71.0±17.9% of normal(p=0.19)と有意差を認めなかったが、RVOT流速はA群:4.73±0.33 m/s、B群:4.09±0.69 m/s(p=0.0037)と有意差を認めた。術式で右室切開を加えたのはA群3例:50%、B群19例:70%(p=0.34)、直視下PV交連切開はA群5例:83%、B群21例:78%(p=0.76)と両群間に有意差は認められなかった。術中において、RVP/LVPはA群 0.67±0.17、B群 0.57±0.17(p=0.28)だが、通過サイザー径より計算されるPAVDはA群 82.7±4.01% of normal、B群 90.4±6.48% of normal(p =0.003)、術後RVOT流速はA群 3.48±0.50 m/s、B群 2.26±0.79 m/s(p=0.0004)と有意差を認めた。【考察】ファロー四徴症心内修復において弁輪温存を選択する場合、術中のサイジング%normalは術後再手術の予測に有用である可能性がある。手術時年齢が低い症例、術前後RVOTSについては術後再手術のリスクとなる可能性があり継続的な外来フォローが必要である。