The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)81(P81)
外科治療3

指定討論者:岡 徳彦(群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

[P81-2] BTシャント手術を先行したファロー四徴症修復術の中期成績 肺動脈弁機能と遺残右室流出路狭窄

白石 修一, 杉本 愛, 高橋 昌, 土田 正則 (新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)

Keywords:ファロー四徴症, BTシャント手術, 肺動脈弁

【目的】当院ではファロー四徴症(TOF)修復術の際に可及的にtransannular patch(TAP)を回避する目的で、乳児期早期にチアノーゼが高度な症例はBTシャント(BTS)を行い1歳以降の修復術を行っている。TOF修復術の中期成績と特に肺動脈弁機能・右室流出路狭窄の観点から治療方針の妥当性を検討する。【対象】2010年1月から2019年12月にTOF修復術を施行した42例(肺動脈閉鎖・肺動脈弁欠損は除く)。先行姑息術はBTS 29例、RVOTR 2例、PAB (AVSD合併)2例。BTS施行時月齢は2.7±2.6m、体重4.6±1.5kg、%PVD 66.9±12.1 %N。TOF修復術時月齢 19.5±8.3m、体重 8.9±1.4 kg、%PVD 86.8±12.8 %Nであり、修復術の内訳はTAP 4例 (9.5%: monocusp 2, mini-TAP 2)、RAPA 12例、RAPA + mini RV patch 26例。【結果】TOF修復術後の在院死亡及び遠隔死亡なし。術後観察期間 5.4±2.8年。術後遠隔期の治療を要する不整脈発生はなし。BTS先行例の%PVDはBTS施行時に比べ心内修復術時に有意に上昇していた(66.9±12.1 vs 86.8±12.8: p<0.001)。最近の術後心エコーでのPRはsevereなし、moderate 10例(24%)であり、うち8例は2015年以前の手術症例。moderate以上の症例はBTS先行例が非先行例に比べ少なかった(4/29 vs 6/13: p=0.027)。右室流出路狭窄に対し1例に再手術、3例にPTPVを施行し、TOF修復術前の介入はBTS 3例、PTPV1例。再手術またはPTPVを要した症例はBTS先行・非先行例では有意差を認めず(3/29 vs 1/13: p=0.786)。PA velocity 2.7±2.6m/sで3.0m/s以上を 5例に認め、うち4例がBTS先行例であった。【結語】当院の治療方針でもTAPの頻度は少なく、BTS後で肺動脈弁輪径の拡大が得られ修復術後も肺動脈弁機能は非先行例に比べても良好であった。しかし、遠隔期に肺動脈弁逆流が増悪する症例や遺残右室流出路狭窄がBTS先行群に見られ、今後さらなる増悪や心室性不整脈の発生などについて慎重に経過観察が必要である。