[P84-2] 総動脈幹症に対する外科的治療成績
Keywords:総動脈幹症, 両側肺動脈絞扼術, 右室流出路再建
【背景】総動脈幹症(PTA)に対して, 当院では2004年から新生児早期の一期的修復から両側肺動脈絞扼術(PAB)を先行する二期的修復術へと手術方針を変更した.【目的】当院でのPTAに対する治療成績を検討した.【方法】1992年以降に当院で治療した症例は12例. 病型分類はCollett-Edwards分類で1型3例,2型7例,3型2例.染色体異常合併例は1例(22q11.2欠損症候群). Moderate以上の総動脈幹弁逆流(TVR)を1例,大動脈弓離断症を2例に認めた. 総動脈幹弁形態は2弁2例, 3弁6例,4弁1例, 他3例は不明.一期的修復を目指した6例(P群)と二期的修復を目指した6例(S群)を後方視的に検討した.【結果】P群のうち4例は心内修復を達成したが, 2例は待機中に死亡(不整脈で日齢12に死亡した例と, 心不全で日齢6に死亡した例).S群は全例,心内修復を達成した.心内修復術後平均観察期間は中央値でP群17年(2年~20年8ヵ月), S群で1.8年(11日~6年).心内修復術時の平均年齢はP群3.2ヵ月, S群6.3ヵ月,平均体重はP群3.3kg, S群5.9kg.右室流出路再建方法はVPRがP群2例(φ12mm), S群1例(φ13mm), Valved conduitがP群0例,S群4例(ePTEF三弁付き14mm 3例, 18mm 1例), Barbero-Marcial法がP群1例, S群0例, Lecompte & TAPがP群1例,S群1例.周術期死亡はP群0例,S群2例(縦隔洞炎).遠隔期死亡は両群とも0例.再手術はP群3例, S群0例.全て右室流出路狭窄または肺動脈狭窄に対する再手術で、TVRに対する介入はなかった.再手術までの期間は7.6年(1.3年~14.1年). 2例は肺動脈弁置換, 1例は術後1.3年に右肺動脈狭窄に対する肺動脈形成.カテーテル治療はP群で3例(右肺動脈バルーン拡大), S群2例(BPAB部狭窄バルーン拡大).カテーテル治療までの期間はP群12ヵ月(6ヵ月~4.7年), S群は2週間と3週間.【結語】二期的修復を導入してからは待機中死亡例を認めず.二期的修復により,心内修復時期を遅らせることで,より大口径の心外導管を用いることができた.