[P88-2] apical muscular multiple VSDに対して経右室的にパッチ閉鎖を施行した一例
Keywords:心室中隔欠損症, 多孔型VSD, 右室切開アプローチ
【背景、目的】筋性部VSDの中でも心尖部の多孔性のVSDの閉鎖において、sandwich法は簡便ではあるが、VSDの辺縁を確認しての閉鎖ではなく、また左室内にパッチが当たり、術後心機能に懸念が残るため、我々は右室心尖部切開approachを行っている。【症例】1歳9ヶ月、BW8.3kg、女児。診断は傍膜様部型VSD+心尖部多孔性VSD。1ヶ月時にPAB+PDA結紮術施行。術前心カテではQp/Qs=1.16、LVとRVは等圧で、PABのmigrationは無し。【手術】まず傍膜様部型VSDを型通りpatch閉鎖した後、右室心尖部のacute marginに平行に切開を加え、内腔を観察する。乳頭筋及びtrabecular septomarginalisを確認し、心尖部中隔の肉柱を流入部、流出路中隔とほぼ同一平面になるように切除すると、「これより外側にVSDはない」という境界が明瞭となるので、その周囲にpledget付polypropylene糸をかけてpatch閉鎖する(interrupt)。心尖部側は心外膜面から貫壁性に運針し、パッチ逢着前に、パッチが右室側に凸にならないよう、パッチの中央にanchor stitchを置く。最後にventを止めて、LVを張らせてそれ以外の箇所を、経RA及び経RV的に検索し、同定することが出来たsmall muscular outlet VSDを直接閉鎖した。【結果】pump時間は343分、Ao clamp時間は211分で、術中TEE及び術後TTEにて有意な遺残短絡認めず、術後急性期にJETのためアミオダロン静注を要した以外は問題なく経過、術後LVEFは64.8%(退院前)72.1%(3m後)であった。【結論、考察】心尖部多孔性VSDに対する、右室心尖部切開による閉鎖法は、VSD遺残を防ぐ確実な術式であり、術後の心機能も問題なかった。