[P88-4] 左上大静脈左房灌流に対する心房内rerouting後に機能的僧帽弁狭窄を来した一例
キーワード:左上大静脈左房還流, 僧帽弁狭窄, intraatrial rerouting
9歳,両大血管右室起始症,左上大静脈左房還流の男児.1歳6ヶ月時に心内修復術を施行.この際に左房に直接還流した左上大静脈に対し自己心膜で左房内にトンネルを作成することで右房内へとrerouitngした.術後経過は良好で左上大静脈から右房への還流も問題なし.当初より僧帽弁流入血流の軽度加速を認めていた.
経過中に次第に左室流入血流加速を認め心臓カテーテル検査を施行.左房内のrerouting部は閉塞し左上大静脈圧は15mmHgと上昇していた.また肺動脈楔入圧は10-12mmHgと軽度上昇していた.左上大静脈血は奇静脈を介し下大静脈から右房へと還流していた.閉塞したrerouting patchが僧帽弁口へと張り出し僧帽弁口面積は約0.8cm2と狭小化していた.機能的僧帽弁狭窄のため再手術が必要と判断した.
心停止下に経中隔的に左房内に到達.rerouting patchにより僧帽弁は一部しか観察できなかったが,patch除去後には僧帽弁全体が十分に確認できる様になった.僧帽弁自体の変性は認められなかった.閉塞した左上大静脈は左房との接続部で離断した.左頸静脈から奇静脈に続く経路はそのまま残す様な形として,右腕頭静脈から左房側断端までとを分離した.その上で左上大静脈離断を右心耳まで誘導し接続した後,前壁の一部をウシ心膜を用いて形成した.最終的には右上半身血は作成した右上大静脈を介して右房へ,左上半身血は奇静脈から下半身へと還流する様な形態とした.術後の中心静脈圧は右:8mmHg,左:9mmHgと概ね左右差はなかった.また僧帽弁口流速は1.0m/s程度と問題なかった.
左上大静脈左房還流は低酸素血症のため修復を要するが乳児期などでは術式の選択が問題となる.心外でのreroutingでは補填物使用の関係で成長上の問題があるため我々は心房内でのreroutingを選択したが,結果として僧帽弁への流入障害を来した.今後心外reroutingの再考を含め治療方針の変更を検討する必要があると考えられた.
経過中に次第に左室流入血流加速を認め心臓カテーテル検査を施行.左房内のrerouting部は閉塞し左上大静脈圧は15mmHgと上昇していた.また肺動脈楔入圧は10-12mmHgと軽度上昇していた.左上大静脈血は奇静脈を介し下大静脈から右房へと還流していた.閉塞したrerouting patchが僧帽弁口へと張り出し僧帽弁口面積は約0.8cm2と狭小化していた.機能的僧帽弁狭窄のため再手術が必要と判断した.
心停止下に経中隔的に左房内に到達.rerouting patchにより僧帽弁は一部しか観察できなかったが,patch除去後には僧帽弁全体が十分に確認できる様になった.僧帽弁自体の変性は認められなかった.閉塞した左上大静脈は左房との接続部で離断した.左頸静脈から奇静脈に続く経路はそのまま残す様な形として,右腕頭静脈から左房側断端までとを分離した.その上で左上大静脈離断を右心耳まで誘導し接続した後,前壁の一部をウシ心膜を用いて形成した.最終的には右上半身血は作成した右上大静脈を介して右房へ,左上半身血は奇静脈から下半身へと還流する様な形態とした.術後の中心静脈圧は右:8mmHg,左:9mmHgと概ね左右差はなかった.また僧帽弁口流速は1.0m/s程度と問題なかった.
左上大静脈左房還流は低酸素血症のため修復を要するが乳児期などでは術式の選択が問題となる.心外でのreroutingでは補填物使用の関係で成長上の問題があるため我々は心房内でのreroutingを選択したが,結果として僧帽弁への流入障害を来した.今後心外reroutingの再考を含め治療方針の変更を検討する必要があると考えられた.