[P88-5] 手術の工夫:左上大静脈遺残を伴う解剖学的僧帽弁置換術後の成人修正大血管転位症に対する両側房室弁置換術
Keywords:手術手技, 左上大静脈遺残, 修正大血管転位
症例は69歳女性。診断は{S,L,L}修正大血管転位症、重症三尖弁閉鎖不、中等度僧帽弁(生体弁)狭窄兼閉鎖不全症、左上大静脈遺残、慢性心房細動。他院にて42歳時に解剖的僧帽弁置換術(機械弁)とASD(二次孔)閉鎖術を施行され、51歳時にstuck valveに対し再僧帽弁置換術(生体弁)を施行されている。手術は胸骨正中切開。心周囲は全周性癒着あり左上大静脈への心外からのアプローチは困難で心内から脱血する方針とし、右房切開後に冠静脈洞からLSVCにむけ8.5mmカフ付き気管tube(PARKER spiral tube)を挿入しカフでocclusionした。僧帽弁位人工弁はCUSAを用いて弁輪を破壊せずに切除。心房中隔を切開しsuperior transeptal approachで左房展開も視野が悪く、尾側にあるLSVCの天井を切開することで視野が確保された。三尖弁置換はすべての弁尖を温存して生体弁置換を行い最後に僧帽弁置換を生体弁で行った。ACHD患者への再手術症例は解剖学的にも体外循環確立から術野展開まで工夫が必要となることが多い。些細な工夫の組み合わせが有用であった一例として画像を供覧して報告する。