[P93-3] 当院における純型肺動脈閉鎖症に対する治療戦略・遠隔成績の検討
キーワード:PAIVS, 治療戦略, 遠隔予後
【背景】純型肺動脈閉鎖症(PAIVS)は病態に多様性をもつ疾患であり,その治療戦略についてはまだ議論も多い.また遠隔期成績に関しての検討も重要である.【目的】当院におけるPAIVSに対する治療戦略をまとめ、遠隔期予後や治療戦略の妥当性について検討する.【対象・方法】対象は当院に定期通院しているPAIVS患者74例.年齢0-40歳(中央値12.9歳).最終治療が二心室修復群(B群)29例,One and one-half repair群(O群)10例,Fontan型修復群(F群)35例.各群の臨床的特徴や治療経過,遠隔期予後などについて診療録を用い後方視的に検討した.【結果】三尖弁輪径対正常比はB群87%(63%-110%),O群86%(82%-93%),F群47%(18%-77%)とF群は有意に低値(p<0.01)であったが,B群とO群では差がなかった.右室容積対正常比はB群84%(41%-136%),O群40%(23%-49%),F群28%(13%-75%)とB群が有意に高値(p<0.01)であった.初回治療としてバルーン肺動脈弁形成術(PTPV)を選択した例は15例あり,うち14例(93%)はB群,1例(7%)がO群であった.肺動脈弁切開術(±体肺動脈シャント術)を選択した症例は19例あり,うち12例(63%)がB群,3例(16%)がO群,4例(21%)がF群であった.体肺動脈シャントのみを施行した症例は37例あり,うち2例(5%)がB群,6例(15%)がO群,29例(78%)がF群であった.生後早期死亡例を2例認めたが,遠隔期死亡症例は認めなかった.遠隔期の左室収縮能やNT-proBNP値は各群で差を認めなかったが,B群では遠隔期に中等度以上の肺動脈弁逆流を有する症例が14例(48%)あり, 肺動脈弁逆流が軽度以下の群と比較して,修復術前の右室容積対正常比が有意に低値であった(62% vs 101%,p<0.01).【結論】初回治療でPTPVを選択した患者はほぼ全例が二心室修復に到達している.生命予後や遠隔期の左室収縮能は各群とも良好であったが,二心室修復術前の右室容積が小さい群では遠隔期の肺動脈弁逆流が強い傾向にあった.