[TRO01-2] 先天性心疾患患者と家族の成人医療への移行に関する認識
Keywords:先天性心疾患, 成人移行, 認識
近年の小児期医療や手術技術の進歩により、先天性心疾患が成人を迎えることが多く、後期合併症を発症して成人後に治療を必要とすることも少なくない 。当院では、小児外来に定期受診している18歳以上の患者は約80名であり、成人への移行期患者に対しての支援が確立できていない。【目的】当院における先天性心疾患患者の成人への移行に対する現状と課題を明らかにする【方法】小児外来通院中の先天性心疾患患者を有する18歳以上の患者とその家族に対して、令和1年7月~10月に質問紙調査を行った。基本属性のほか、成人移行に対する不安や希望、小児医療継続への違和感を単純集計とクロス集計で分析、自由記載は質的に分析した。【結果】成人移行に対する不安は、あると回答した人は17名(53%)であり、家族の回答は全員あると回答。成人移行に対する希望は、あると回答した人は6名(25%)、ないと回答した人は11名(46%)、どちらでもよいと回答した人は7名(29%)。小児医療継続への違和感があると答えた人は7名(29%)、ないと回答した人は17名(71%)。自由記載から6カテゴリーが抽出され、『』で示す。『慣れ親しんだ環境の変化』『主治医の交代』『小児医療からの引き継ぎ』『医療費の負担』『成人医療に対する情報不足』『小児科への羞恥心』であった。【考察】小児から成人移行に関する課題として、幼少期から入院や通院をしている患者は、小児医療への信頼感が強く、移行の希望を持たない傾向がわかった。知的や重症心身障害を持つ家族や合併症、後遺症等がある患者は、小児科以外に複数科を受診する必要があるため、『成人医療に対する情報不足』があり、『小児医療からの引き継ぎ』が行われるのかといった不安がある。【結論】患者や家族が安心して移行の準備を勧められるように小児科と成人の科が連携していくことが重要である。