[TRP1-3] 術後に終末期医療を必要とした新生児の家族への看護~意思決定を支えたもの~
Keywords:新生児, 術後, 終末期ケア
【はじめに】今回、私達は、出生後に児の疾患が判明、新生児早期の術後に、家族が児の終末期に向き合う過程を振り返り、家族の意思決定を支えた看護実践について報告する。なお、この報告は、当院倫理委員会の承認を得ている。【事例概要】日齢12で先天性心疾患に対し、心内修復手術。術後より補助循環を必要とした。術後1週間経過しても状態の回復が見込めず、両親へは生命維持が厳しいことが説明された。しかし、術後児が元気になると期待していた両親は厳しい状況を受け止められずにいた。【実践結果】1)面会調整:現状では、両親の気持ちに寄り添い、高度専門治療を提供、家族とのケアを通し、児にとっての最善について、共に考える必要があった。そのため、術前より少なかった両親の面会を増やせるよう面会時間の調整をするだけでなく、父の仕事調整と同胞の育児支援依頼について提案した。2)家族と共に考えるケアの提供:両親は遠方に住む祖父母の協力を得て、毎日面会可能となった。児が頑張れるよう、家族の希望も取り入れ、清拭・写真撮影・母乳の口腔内塗布を行った。また生後1か月を祝いたいという家族の希望を叶えることを目標とした。家族の一員である同胞面会も緩和した。3)誕生会の開催:毎日面会する家族は、ケアを共に行う中で、児の外見の悪化等から厳しい状況を受け止め、家族に見守られ最後の時を迎えたい思いを表出。生後1か月の日に、家族との盛大な誕生会を行った。その後、補助循環離脱を意思決定し、児は大勢の家族の中で永眠された。【考察】急性期にある子どもの看取りに関するケアは、高度専門治療の提供と平行して行い、子どもと家族が持てる時間を最大限確保し、よりよく過ごせるよう家族と共に考え、ケア実践する必要がある。今回、面会調整を行い、家族と共にケアを行えたことが、家族の児の終末期を受容するプロセスを支え、意思決定できたことにつながったと考える。