[TRP2-1] 先天性心疾患術後患者のパルスオキシメーター装着による圧迫創傷の現状と予防策
キーワード:医療関連機器圧迫創傷, パルスオキシメーター, 先天性心疾患
【背景】PICUでは、先天性心疾患患児の術後の医療関連機器圧迫創傷(以下、MDRPU)のリスクは高く、中でも末梢循環不全の患児に長期間パルスオキシメーターを装着することによる圧迫創傷が最も多かった。【目的】先天性心疾患術後患児のパルスオキシメーター装着による皮膚トラブルを予防するため、フィルム材を使用し、その有効性を検証すること、及び皮膚トラブルの誘因を明らかにすることを目的とした。【倫理的配慮】倫理委員会の承認を得た上で、対象者の両親に同意を得た。【対象と方法】対象者は術後PICUに入室した先天性心疾患患児121名である。予防的介入方法として、パルスオキシメーターの電光部分にフィルムドレッシング材を貼付した。2019年8月より予防的介入を開始し(介入群)、それまでの患児(非介入群)と圧迫創傷の有無とその誘因をカイ2乗検定で検討した。誘因は患児の月齢、重症度、低酸素、カテコラミン投与、同一部位装着時間とした。【結果】発赤発生件数は、非介入群が71例中9件、介入群が50例中1件であり、圧迫創傷発生が有意に減少した。誘因では、同一部位装着時間でのみ有意差が認められた。介入群は非介入群より同一部位装着時間が短くなっていた。【考察】先天性心疾患術後患児は、血行動態を正確に知る必要性や他の医療機器装着により、パルスオキシメーター装着部位が限られていることが多い。介入群では、同一部位への装着時間が短縮されたものの、8時間以上となる割合が高かった。褥瘡は同一部位への圧迫・摩擦・ズレが主な原因と言われているが、パルスオキシメーターと皮膚の間にフィルムドレッシングを貼付することで、同一部位圧迫が長時間となった場合でも摩擦やズレを予防でき、MDRPUリスク減少に繋がったと考える。【結論】圧迫時間の短縮とフィルムドレッシング材の使用が圧迫創傷の減少に効果的であった。