[TRP5-2] 体外式補助人工心臓(EXCOR)装着中の患児の安全な病室外活動の基準作成
キーワード:小児, EXCOR, 室外活動
【背景】体外式補助人工心臓(以下EXCOR)はドライブラインが2m程度であり、装着中の患児の活動範囲は極めて狭い。当病棟は一般病棟であり、これまで安全面等を危惧しEXCOR装着中の患児の病室外活動を継続的には実施できていなかった。しかし移植待機期間中に様々な発達課題の達成を必要とする患児に対して、病室内だけでなく病室外で過ごすことが発達に良い影響をもたらしており、改めて環境を整える必要性があると考えた。【目的】EXCOR装着中の患児が病室外で安全に過ごすための基準を作成する【方法】EXCOR装着中の患児の病室外活動の実際を振り返り、看護師が中心となって医師、臨床工学技士(ME)、理学療法士、保育士、チャイルドライフスペシャリストといった多職種に働きかけ、基準を作成した。【結果】対象は医師の許可と家族の同意のある患児とした。安全面への必須条件は医師が緊急時に対応できる状況下で、患児がヘルメット、ポンプカバー、腹帯が着用できること、同行看護師はEXCOR装着患者のケアを1年以上経験した者とし、同行MEは本体操作を実施できる者とした。観察項目はバイタルサイン、自覚・他覚症状、デバイスやポンプの異常の有無、デバイスとの距離等とし、チェックリストを作成した。主にデイルームを病室外活動の場とし、活動内容は主にリハビリや発達年齢に合わせた遊び、集団保育への参加とし、個別性に合わせた計画を多職種で立案した。【考察・結語】これまで多くのEXCOR装着中の患児を経験し、治療優先の環境下で患児に十分な発達の機会を継続して提供することの難しさに直面してきた。今回看護師が中心となり、安全を担保して患児の身体・精神的な発達の促進という視点も加えながらEXCOR装着中の患児が病室外で過ごすことの意義を明確に示したことで、従来の固定観念が払拭された。そのうえで根拠をもとに多職種が各々の立場から意見交換したことで、継続可能で安全な基準が作成できた。