[II-PD05-5] Delayed atrioventricular block after catheter cryoablation for atrioventricular nodal reentrant tachycardia
Keywords:クライオアブレーション, 房室結節回帰性頻拍, 房室ブロック
【背景】クライオアブレーション(Cryo)は冷却中に房室伝導障害が出現した場合、直ちに冷却を中止すれば房室伝導は回復するのが特徴とされている。報告はないものの、治療数時間後に遅発性に房室ブロック(AVB)を認める症例を我々は経験してきた。【目的】遅発性に房室伝導障害をきたした症例の全体像とリスク因子を検討する。【方法】2016年4月~2020年12月に当科で心形態異常のない房室結節回帰性頻拍(AVNRT)に対して施行した初回Cryo 45例を対象とした。遅発性AVBは治療終了後1時間~退院までに発症したAVBと定義し、発症時間・AVBの程度・転帰を調べた。セッション時患者特性(年齢・体重)、治療内容(冷却時間・位置)、電気生理学検査結果を遅発性AVB群・非AVB群で比較した。【結果】セッション時年齢中央値12(3~21)歳、体重40(13~72)kg、最終Cryoからの経過観察期間は中央値974(99~1723)日。遅伝導路を順行し速伝導路を逆行するcommon type単独は28例だった。急性期成功は39/45例でそのうち6例が再発した。2例がCryo直後から1度AVBを認め、1例は外来最終フォローアップまで残存し、1例は1か月後にPR時間正常化した。遅発性AVB群は5例で、発症時間は術後4~12時間、Wenckebach2度AVB3例、2:1~3:1AVB2例。全例術翌日に1:1伝導に回復し、外来最終フォローアップ時のPR時間も正常だった。遅発性AVB群5例と非AVB群(急性期1度AVB2症例を除く)38例で、総冷却時間、冷却部位、Cryo前後での心房-His束間隔および順行性の房室結節有効不応期の変化に有意差はなかった。冷却中2度以上のAVBをきたした症例はAVB群で5/5(100%)、非AVB群で17/38(42%)だった(p=0.015)。【考察】治療終了時にAVBを認めない症例でも治療終了の数時間後にAVBをきたす可能性があり注意を要する。冷却中の2度以上のAVBは遅発性AVBのリスク因子である。今回経験した遅発性のAVB症例はすべて一過性で翌日には回復し、その後房室伝導障害は認めなかった。