[II-SY07-6] 狭小大動脈弁を有する大動脈弓離断症に対する両側肺動脈絞扼術は二心室修復の可能性を高める--待機の利点と問題点--
キーワード:狭小大動脈弁, 大動脈弓離断, 両側肺動脈絞扼
【背景】大動脈弓離断(IAA)に狭小大動脈弁(AS)や心室低形成を伴う場合、大動脈弁(AV)発育の予測や二心室修復(BVR)の可否判断が難しい。我々は初回手術に両側肺動脈絞扼術(bPAB)(+/- 動脈管ステント(DS)留置(Hybrid approach))を行い、新生時期以降のAVや心室発育を待ち、治療方針を決定している。しかし新生児期以降は大動脈弓再建が困難な場合がある。【目的】ASを有するIAA症例のBVR到達率、大動脈弓再建方法の検討。【対象と方法】心内修復術を行ったIAA連続18例中、初回手術にbPABを実施した10例が対象。bPAB実施時平均日齢7、体重3.2kg、大動脈弁輪径 4.6mm、z score -3.9であった。10例中9例にDS留置。大動脈弓再建方法、BVR到達率などを検討。 【結果】大動脈再建時の平均月齢6. 0、体重5.5kg、AV弁輪径 6.1mm、z score -3.1。AV発育を認めた5例中、BVR到達3例。未到達2例は右室、左室低形成。一方、AV発育を認めずDKS/RastelliとしてBVR到達は2例であった(BVRは計5例)。大動脈弓再建はBVR到達5例中、3例にconventional repair(直接吻合/心膜パッチ/肺動脈ロール1例ずつ)、2例にDKS/Rastelli(直接吻合1例、人工血管間置1例)を実施。単心室修復(UVR)とした全5例にNorwood手術を行い、弓部再建には自己大動脈グラフト間置1例、DS残存1例。死亡2例で、BVR1例は左室流出路狭窄進行のためRoss-Konno手術後死亡。UVR1例は左PSに対するステント留置後再灌流性肺障害により死亡。【結論】IAA/AS症例10例においてbPAB後5例がBVRに到達しえた。一方でBVR成立・不成立にかかわらず大動脈弓再建に工夫を要する症例が5例あった。