[III-PD06-3] An investigation about the change of transpulmonary pressure gradient in the Fontan patients
Keywords:Fontan, transpulmonary pressure gradient, 肺血管抵抗
【背景】フォンタン術後の肺循環の評価において肺血管抵(Rp)は重要であり、その遠隔期における変化についてはあまり知られていない。RpをFick法を用いて計算するには肺動静脈の酸素飽和度が必要であるが、体肺側副動脈や右左短絡の影響によって正確な測定が困難なことや、酸素消費量が推定値であることなど、信頼性に問題がある。【目的】TPGをRpの代用として用い、フォンタン術後遠隔期における変化を明らかにすること。【方法】15歳以上でカテーテル検査を施行したフォンタン術後症例を対象とし、平均肺動脈圧(PA), 平均肺動脈楔入圧(PCW), PA-PCW(TPG) について、残存する最も古いカテデータ(C1)と直近のカテデータ(C2)を比較した。また、C2においてTPG 6mmHg以上の症例の背景を調べた。【結果】対象となった症例は80例で、C1のPAは5-19中央値11mmHg, PCWは1-13中央値6mmHg, TPGは平均4.8±2.0mmHg, C2はそれぞれ7-20(11), 4-12(7), 3.8±1.3mmHgであった。C1とC2の比較では、PAは有意差を認めず、PCWはC2で有意に上昇し(p<0.01)、TPGはC2で有意に低下していた(p<0.01)。C2においてTPG 6mmHg以上の症例は7例あり、5例はPA13mmHg以下, PCWは比較的低値でgood Fontanであったが、2例はPA15mmHg以上で重症心不全症例とPLE症例であった。【考察】フォンタン術後遠隔期には、肺動脈圧の変化はなく、肺動脈楔入圧が上昇することによりTPGが低下することが示された。心室の拡張能が低下することにより肺静脈圧が上昇するが、V-V shuntやFenestrationにより肺血流が減少する、心拍出量そのものが減少する、などの機序が働くことによって、肺動脈圧の上昇が抑えられているのではないかと推察する。【結語】フォンタン術後症例では遠隔期にTPGが低下する傾向がみられる。今後、TPGが低下するメカニズム、TPGの低下がみられる症例とみられないない症例の比較や予後との関連、治療介入の適応などについて検討する必要がある。