[III-PD06-5] The biomarkers for Fontan Associated End Organ Dysfunction -potential of red blood cell and platelet distribution width-
Keywords:フォンタン循環, 心不全, 肝障害
【背景】心不全では末梢臓器障害の一環として血液中の血球成分に影響があることが知られ、赤血球分布幅(RDW)は心不全マーカー、血小板分布幅(PDW)は微小血管閉塞性疾患との関連が指摘されている。フォンタン術後臓器障害は静脈うっ血という点で心不全と機序を同じくすることから、同様のホメオスタシスが活性化されている可能性がある。【対象と方法】心臓カテーテル検査を行ったフォンタン術後患者120名の検査入院時血液検査におけRDW、PDWと血行動態指標および心不全マーカーの関連を検討した。【結果】RDWはHANP、BNPと関連を示さなかったが、中心静脈圧(p=0.003)、肺動脈楔入圧(p<0.001)、心拍出量(p=0.0081)と正相関を示し、フォンタン循環負荷を反映すると考えられた。RDWは年齢と負相関を認めるが、年齢を調整しても線維化指標であるP-III-P(p=0.0023)、4型コラーゲン7s (p=0.010)と正相関、成長ホルモン指標であるソマトメジンc(p=0.039)と負相関を認め、末梢臓器障害との密接な関連が示唆された。一方、PDWは年齢や血行動態・線維化指標と独立していたが、肝線維化指標であるFib-4 index(p=0.002)、総ビリルビン(p=0.040)と正相関、アルブミン/IgG比(p=0.030)と負相関を認めた。興味深いことにPDWは肝静脈酸素飽和度(p=0.017)、血清マンガン値(p=0.014)と正相関、肝静脈楔入圧(p=0.013)と負相関を認めたことから、肝障害に伴う肝血流供給の動脈血化と門脈体循環短絡による門脈血シフトを反映すると考えられた。【結論】慢性期フォンタン循環において血球成分は臓器障害と並行して変化する。特にPDWは肝臓から分泌されるトロンボポエチンの変化に影響を受けている可能性があり、FALDの生体指標としての役割が示唆された。