[III-PD06-8] The use of lymphangiographic imaging and liver lymphatic embolization as a treatment for refractory PLE in Fontan patients
Keywords:タンパク漏出性胃腸症, 肝内リンパ瘻, フォンタン術後
【緒言】タンパク漏出性胃腸症(PLE)は, Fontan術(以下F術)後の合併症として知られている. PLEは難治性, 予後不良の場合が多く, 頻回の輸血のためQOLも低下する. 2017年にItkinらが肝臓から腸管内へ流出するリンパ瘻を塞栓することでPLEの改善が得られた症例を報告した. 今回, F術後の難治性PLE 2例に同様の治療を適応した経験を報告する. 【対象】2020-2021年に当院で肝内リンパ瘻塞栓術を行った2例. 【方法】全身麻酔下に経皮的に肝臓内グリソン鞘を22G PTBD針で穿刺. ウログラフィンを用いてリンパ流を造影後, インジゴカルミン色素液を注入した. 十二指腸に挿入した内視鏡により色素の腸管内への流出を確認することでリンパ瘻を確定診断し, 同部位よりNBCAを注入して塞栓した. 【症例1】13歳女児. 単心室, 肺動脈閉鎖, 内臓逆位に対して3歳時にF術(開窓なし)が行われた. 12歳時にPLEを発症し, 週1回の入院, アルブミン補充療法を要した. PLE発症時のCVP 9mmHg, SpO2 90%で, リンパ静脈吻合が行われたが無効だった. 13歳時にリンパ塞栓術が実施され, 半年間アルブミン(Alb)値は3.5g/dl以上を維持した. その後Alb値の緩やかな低下を認めているが, 月1回の補充で維持されている. 【症例2】27歳女性. 三尖弁閉鎖症に対して1歳時にF術(開窓あり)が行われた. 11歳時にPLEを発症し, 19歳よりbudesonide依存性となった. 半年前より入院を継続し週に数回Alb輸血が必要となった. 入院時のCVP は12mmHg, SpO2は 90%. リンパ塞栓術後2週間で, Alb値は3.5g/dl前後を維持し, 輸血不要となった. 【考察】高濃度のタンパク質を含む肝臓から腸管へのリンパ瘻は, F術後の難治性PLEの主因と考えられる. 同部位の塞栓術は少なくとも短期的にはAlb値の維持に繋がり, QOLの改善に貢献する. 今後, 長期予後についても観察していく.【結論】難治性PLEに対する肝内リンパ瘻塞栓は, 短期的に有意な効果を示した.