[OR12-5] 心房中隔欠損閉鎖デバイスの最終的な形態はリリース前にどの程度予測できるか
Keywords:経皮的心房中隔欠損閉鎖術, erosion, デバイス形態
【背景】経皮的心房中隔欠損閉鎖術:TC-ASDにおける心損傷:erosionの危険因子として大動脈へのデバイス突出:dentが知られている。一方でデバイスのリリース前後で位置や形態が変化し、リリース後にdentが出現することも、解消されることも経験する【目的】リリース前後でのデバイスと大動脈との干渉の傾向、およびdentの変動に関して調査する【方法】聖マリア病院で過去5年間に施行したTC-ASD連続 103例のうち、評価可能な画像が得られた90例を対象とした。デバイスリリース前後の大動脈との距離や角度変化、dentの有無を調査し、欠損孔径や留置デバイスなどの情報との関係について後方視的に検討した。【結果】臨床データ(中央値と範囲):男女比33/57、年齢8(4~81)歳、欠損孔長径13.9(6~28.9)mm、デバイス径17(8~32)mm、大動脈縁3.3(0~12)mm、Amplatzer38例、Occlutech(FSO)52例であった。デバイスのdisc端と大動脈外壁との距離は、リリース前後で大動脈から見て右房discは平均4.3mm(95%信頼区間CI 4.0~4.7)近づき、左房discは平均0.3mm(95%CI 0.1~0.5)離れた。デバイスwaist端と大動脈中点を結ぶ線とdiscの内側面とが形成する角度変化は、右房discは平均10度(95%CI 8~13)小さくなり、左房discは有意な変化はなかった。デバイス種類で比較すると右房discに関して距離・角度ともに有意にFSO群で変化が大きかった。FSOを留置した5症例でリリース後に1mm台の軽度のdentが出現し、4症例が右房disc側であった。Dent出現症例と非dent症例の比較では有意にデバイス/欠損孔径比が大きかった(中央値 1.4 vs 1.2)が、リリース前の距離や角度、rimの径や性状に差はなかった。一方で3症例では左房側に認めたdentがリリース後に消失した。【考察】左房discによるdentはリリース後に改善する傾向があるが、右房discはリリース後に大動脈に近接しdentが出現・顕在化する傾向にある。