[OR13-4] 症候性大動脈縮窄を伴う早産超低出生体重児を救命する方針
キーワード:coarctation, extremely low birth weight infant, stent implantation
【背景】大動脈縮窄 (coarctation of aorta、 以下CoA)に対する外科的再建術は、在胎30週前半、体重1500g以上での報告があるが、それ以前では全身合併症の危険性が高いとされる。一方、後負荷不適合が顕著となる早産低出生体重児が存在する。近年、海外で1500g未満のCoAに対するステント留置例が散見されるが、1000g未満の超低出生体重症例は少なく、本邦における報告はない。【対象・方法】2014年から2020年に当院で経験した、CoAによる後負荷不適合で発症した早産超低出生体重児3例 (在胎28-33週、体重723-902g)。初回は最も細径な冠動脈用ステントを縮窄部に留置し、成長後計画的に再拡大した上でステント除去を含めた外科的再建術を行う方針とした。【結果】左右いずれかの総頚動脈をSeldinger法で確保し、ステント留置は3例中2例で成功した。不成功だった最初の症例では、より細径とするためシースを使用せずカテーテルを直接挿入したが、ガイドワイヤーが大動脈峡部に進まず、開胸下のハイブリッド治療に変更せざるを得なかった。その後の2例は、3Fショートシースを留置し、大動脈造影とワイヤー導入の起点とした。総頚動脈から大動脈弓、峡部の屈曲経路へのワイヤリングが最も困難なポイントだったが、先端転向型マイクロカテーテルと0.014inch親水性ワイヤーの組み合わせで克服できた。8mmもしくは9mm長のベアメタルステントを縮窄部で3.5mmに拡大し、動脈管膨大部はjailされ2症例とも翌日自然閉鎖した。シース抜去後は用手圧迫し血管損傷を認めなかった。1例は日齢66、体重2.0kgでステントを5mmまで再拡張し、生後5か月、体重3.5kgで外科的再建術に到達した。後の1例は初回治療後に左室駆出率が21%から75%に改善し、再拡張待機中である。【考察】総頚動脈に穿刺留置した3Fシースを起点とする本手法は、外科的修復が困難な症例に対する初回姑息術として有効と考えられた。