[OR14-2] SCN5A A735E変異を有し複数の不整脈および心筋症の表現型を示した2家系
キーワード:SCN5A, 遺伝性不整脈, 心筋症
【背景】SCN5A変異はブルガダ症候群、洞不全症候群、房室ブロック、上室性頻脈、QT延長症候群、拡張型心筋症、心筋緻密化障害といった複数の不整脈や心筋症の表現型を示すことが知られている。一つの変異でこのうちのいくつかの表現型を示すものは報告されているが、すべての表現型を示すものは報告されていない。【対象および方法】心筋症を含む複数の不整脈を示す2家系の患者に対し不整脈、心筋症関連遺伝子72種類に対するパネル解析およびサンガー法を用いた解析を行い遺伝子変異を同定した。変異遺伝子に対してパッチクランプ法を用いた機能解析を行った。【結果】家系1:症例1: 4才男児。ブルガダ症候群、洞不全症候群、上室性頻脈を示し、頻脈および徐脈による症状を繰り返したためペースメーカー植え込みを行った。症例2:30才男性。症例1の父のいとこ。失神に対し17才でペースメーカー植え込みを行った。ブルガダ症候群、洞不全症候群、上室性頻拍、房室ブロック、左室緻密化障害を示し、30才でICD植え込みを行った。また、本症例の兄は22才で突然死した。家系2:症例3:15才女児。15歳時に心肺停止を認めICD植え込みを行った。ブルガダ症候群、洞不全症候群、QT延長症候群を示した。遺伝子解析において不整脈、心筋症を示す上記2家系の8名にSCN5A A735E変異を認めた。その他の遺伝子変異は認めなかった。8名全例において少なくとも1種類の不整脈を認めた。機能解析ではINaのnon functionを認めた。【結語】SCN5A A735E変異を有する症例において、ブルガダ症候群、洞不全症候群、上室性頻脈、房室ブロック、QT延長症候群、心筋症のすべての表現型が認められた。