第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

集中治療・周術期管理

デジタルオーラルI(OR18)
集中治療・周術期管理 2

指定討論者:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院)
指定討論者:岩田 祐輔(岐阜県総合医療センター)

[OR18-2] 先天性腹腔内臓器異常と先天性心疾患の合併により起こりうる管理・治療計画への相互影響

中川 直美1, 鎌田 政博1, 石口 由希子1, 岡本 健吾1, 川田 典子1, 片岡 功一1, 久持 邦和2, 立石 篤志2, 本田 茜3 (1.広島市立広島市民病院 循環器小児科, 2.広島市立広島市民病院 心臓血管外科, 3.広島市立広島市民病院 新生児科)

キーワード:先天性心疾患, 先天性腹部内臓器異常, 先天異常症候群

【目的】先天性内臓器異常(臓異)合併CHDにおける管理上の留意点を明らかにする.【対象,方法】臓異合併CHD76例;十二指腸閉鎖(腸閉)22,食道閉鎖(食閉)13,低位鎖肛(低鎖)10,高位鎖肛(高鎖)6,横隔膜ヘルニア(横へ)5,臍帯ヘルニア(臍ヘ)4,総排泄腔遺残(総遺)4,腎低形成(腎低)4,奇形腫(奇)1.診療録を基に調査,検討.【結果】1)臓異/CHD以外の先天異常/症候群合併60(79%) 2)低出生体重:49(64%) 3)新生児期CHD手術13 ;AoA repair4,Bilat PAB3,その他6. 6か月以内CHD手術29;PAB13, BTS8, ICR5,その他3. 4)1歳未満死亡17(全体の22%).原因の最多を占める呼吸障害11(死亡の65%)のうち出生当日6(気管閉鎖3,肺低形成3),1か月以内3.CHD4(HLHS2, Asplenia1,TA1)のうち 2例は腹部疾患の影響をうけ死亡(1:HLHS,低鎖.人工肛門後,腹膜透析可能まで待機しNorwood→PH.2:臍ヘ/TA:胸部への介入困難).5)治療方針のModifyを要した例:臓異の方針Modify6(8%):食閉1(5%):一期修復可能の食閉に対しIAA手術を優先させ胃瘻造設のみ施行.高鎖5例(83%):CHD正中切開手術への影響を避け人工肛門を低位置に増設.CHDの方針Modify20(26%):食閉7(41%),高鎖3(50%),横ヘ1(20%),臍ヘ3(60%),総遺3(75%),腎低3(75%).食閉:気管軟化症/誤嚥/縦郭洞炎→CHD手術予定変更6,TEE不能1, 高鎖:他院で通常の位置に人工肛門増設→CHDの正中切開に影響1,腹膜透析回避のためCHD手術方針変更2.横ヘ:PHでlargePDA見落とし(当院転院後緊急結紮),臍ヘ:胸部への介入困難3.総遺:尿路感染→菌血症反復でCHD手術予定変更.腎低:人工心肺可否の判断に難渋2,Fontan回避しGlennのまま観察1【まとめ】圧倒的に他の先天異常合併や低体重が多く管理を難しくしている.高死亡率の原因は呼吸不全が主.臓異の方針Modifyは少ないが,CHDの状態を比較的安定させ臓異の手術を可能にするという管理が重要な鍵.一方でCHDの方針Modifyを要した例は多く,腹部疾患による影響を十分理解する必要がある.