[OR18-4] PICUにおける先天性心疾患患者に対する手術後の早期リハビリテーションの取り組み
キーワード:PICU, 早期リハビリテーション, 先天性心疾患術後
【背景】PICUでも早期リハビリテーション(早期リハ)が導入されているがその効果は限定的で、先天性心疾患(CHD)患者に対する術後の早期リハの報告は少ない。当センターでは、2018年度より早期介入・離床を目的とした早期リハのプロトコル、開始基準、中止基準を多職種で作成し、早期リハを開始している。【目的】当センターPICUにおけるCHD患者に対する術後早期リハの有効性と問題点を明らかにする。 【方法】2018年5月から2019年8月の間にCHDに対して手術が施行され術後早期リハを実施した115名を介入群、早期リハ導入前の2017年1月から2018年4月の間にCHDに対し手術が施行され術後早期リハが未実施の109名を非介入群とした。調査項目は(1)術前患者因子として、性別、年齢、体重、染色体異常の有無、(2)術中因子として、RACHS-1カテゴリー、手術時間、人工心肺使用の有無、人工心肺時間、大動脈遮断時間、(3)術後因子として、術後体位変換開始までの時間、(4)早期リハの効果指標として、人工呼吸器装着期間、術後無気肺の発生率、PICU滞在期間、PICU退室後の入院期間を診療録より後方視的に調査し、介入群と非介入群で比較した。【結果】2群間で術前患者因子、術中因子に差は認めなかった。術後体位変換開始までの時間は介入群5.7(1.7~9)時間と、非介入群7.5(4~13.7)時間よりも有意に短かった(p=0.0017)。また、早期リハの効果指標としては、術後無気肺発生が介入群25名(21.7%)と、非介入群43名(39.4%)よりも有意に低かった(p=0.0062)。介入群は全例が早期リハの開始基準を満たしており、中止基準を満たす症例や有害事象は認めなかった。【結語】術後の体位変換開始までの時間が短縮され、無気肺の発生率が低下しており、早期リハの有効性が明らかになった。また、早期リハの効果指標の設定には課題が残り、今後の症例の蓄積が必要である。