第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラルI(OR2)
一般心臓病学2

指定討論者:手島 秀剛(市立大村市民病院)
指定討論者:市橋 光(自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科))

[OR2-2] 新規医療機器開発における本学会のアンケートシステムの有用性

根本 慎太郎1, 小西 隼人1, 鈴木 昌代1, 勝間田 敬弘1, 三浦 大2 (1.大阪医科薬科大学 医学部 胸部外科, 2.東京都立小児総合医療センター 循環器科)

キーワード:医療機器開発, アンケート調査, リアルワールドデータ

【目的】新規医療機器の開発においては、正確な臨床ニーズを反映する性能を製品に付与する技術設計と、適切な治験設計が重要である。文献検索とデータベース利用では得られないリアルワールドデータの情報収集法として、開発企業にも開かれている本学会保険診療・臨床試験委員会でのアンケートを活用した。本アンケートシステムの有用性について我々の開発実例を通して論じる。【方法】細胞や異種動物由来材料を使用せずにin situ tissue regenerationを応用して自己組織化する心臓修復用シートの実用化研究を開始した。出口戦略を意識する観点からの必要項目をアンケートに盛り込み、委員会から外科系評議員76名(施設)へ配信した。右室流出路から肺動脈領域の拡大再建における使用パッチ種類、再治療介入(再手術、カテーテルインターベンション)の発生頻度とその原因について回答を得た。【結果】約1か月間で18名(23.7%)の回答を得た。使用パッチの種類に関わらず(使用頻度PTFE6割、自己心膜3割、ウシ心膜1割)再治療介入の上位3大原因は材料劣化、内膜過剰増生、非伸展性と判明した。これらの制御を新規材料に要求される性能として製品規格を設定し、これらの性能が付与されていることを非臨床の長期埋植試験で実証した。また、既存材料への再治療介入回避率は3年間で80.2%と判明した。実臨床での再介入回避率は、その後の治験の症例数設計、主要評価項目の目標数値になると考えられる。一方、文献的には同様な解析はなく、肺動脈系の疾患別・手技別の解析による再介入回避率は50.0~96.5%(観察期間1~18年)と収束するデータは得られなかった。【結論】アンケート回収率およびデータの網羅性と品質保証の検討は必要なものの、本学会のアンケートは新規医療機器開発における要求性能抽出と技術および治験設計の立案に有用であると考えらえた。