[OR2-4] 学校心臓検診で発見された副甲状腺機能低下症に伴う二次性QT延長症候群の2例
Keywords:学校心臓検診, 二次性QT延長症候群, 副甲状腺機能低下症
【背景】副甲状腺機能低下症は、全国で約900例程度と非常に稀な疾患であるが、心電図のQT延長を契機に診断されることがある。今回学校心臓検診のQT延長から副甲状腺機能低下症の診断に至った2例について検討する。【症例1】12歳男子。中学1年の学校心臓検診でQT延長を指摘された。検診の数ヶ月前より顔面・四肢の痺れが出現し他院を受診、てんかんを疑われカルバマゼピン内服を開始した。当院でQT延長の精査目的で入院した際の血液検査で著明な低カルシウム血症(5.2mg/dl)、高リン血症(11.1mg/dl)を認めた。精査の上、副甲状腺機能低下症に伴う二次性QT延長症候群と診断し、活性化ビタミンD製剤、カルシウム製剤の内服を開始し、QT時間は正常化した。【症例2】18歳女性。中学1年時の学校心臓検診でQT延長を指摘された。以後定期的に心電図を経過観察されたが、血液検査は施行されなかった。2年後にボスミン負荷試験を施行、著明な延長(QTc 609msec)を認めQT延長症候群と診断し、交感神経β遮断薬の内服を開始した。開始約2年後に、大学からの帰宅途中に意識消失、1分間の全身強直間代性けいれんを認め当院に救急搬送された。血液検査で著明な低カルシウム血症(5.3mg/dl)、軽度の高リン血症(4.8mg/dl)、および頭部CTで基底核・小脳に石灰化を認め副甲状腺機能低下症が疑われた。以後活性化ビタミンD製剤、カルシウム製剤の内服を開始し外来経過観察中である。【考察】QT時間は、先天的な原因とは別に各種薬物、電解質異常、徐脈をはじめ様々な病態が原因で延長を来す。症例2は、経過中QT延長の原因精査が十分になされず、結果として副甲状腺機能低下症の診断に時間を要した。【結論】学校心臓検診でQT延長を指摘された際には、二次性QT延長の可能性を考えて詳細な病歴の聴取、および検査を行うことが重要である。