[OR22-2] 小児における尿中NT-proBNP/Creの有用性
Keywords:尿中NT-proBNP, 心不全マーカー, BNP
【背景】心筋細胞に対する圧・容量負荷、虚血・低酸素、炎症などの様々なストレスに対して、NPPB遺伝子からBNPは誘導され約1時間後にピークを迎える急性期タンパクである。Natriuretic peptide receptor-Aに結合して、血管拡張、ナトリウム利尿、抗アルドステロン、脂肪分解などの生理活性を発揮する。一方、proBNPからBNPが生成される過程でN末端が切断され、生理活性を有しないNT-proBNPも産生されている。BNPに比べ半減期が長く、少量の血清で測定できるNT-proBNPはバイオマーカーとしての優位性があり小児においても広く使用されている。そのほとんどは腎排泄によって代謝され、昨今、成人や新生児において尿中NT-proBNPが測定されるようになり、採血が不要であることの利点が着目されている。しかし、小児における報告は少ないため検討した。【方法】対象は2019年8月から2020年12月までに当院で血液検査、尿検査、心電図、心エコーを施行した腎機能が正常な46名(女21名、男25名。疾患背景としてVSD、川崎病、LQTなどの不整脈の患児)。年齢は平均2.2歳(0-13歳)。血中および尿中のNT-proBNP(それぞれsNBNP、uNBNP)を測定し、その相関をSpearmanの相関係数を用いて解析した。【結果】sNBNP=382.9+/-622.4pg/ml、uNBNP/Cre=184.6+/-226.1pg/ml/Cre、uNBNP=184.6+/-226.1pg/ml、Cre=0.247+/-0.101mg/dlであり、sNBNPとuNBNP/Creは弱い正の相関を示した(R=0.29、p<0.05)。 【考察】尿を用いたuNBNPの測定はこれまでの報告通り可能であったが、成人や新生児おける既報に比較して小児ではsNBNPとの相関は弱かった。症例数が限られていること、疾患背景が異なることで正確な評価ができていない可能性が考えられ、症例数を増やしての更なる評価が必要と考えられた。【結語】uNBNP/Creは非侵襲的に測定可能で、小児における循環動態の指標として有用である可能性はあるが、今後の更なる詳細な評価が待たれる。