[OR22-3] 複雑先天性心疾患における非線形解析を用いた潜在的自律神経機能障害の評価
Keywords:自律神経機能, 心電計, 先天性心疾患
【背景】近年新たに非線形解析法の発達に伴い、心不全患者の状態評価や予後予測のために心拍変動(HRV)による自律神経機能検査が再び注目されているが、先天性心疾患領域ではその評価はまだ十分ではない。【目的】複雑先天性心疾患術後患者の自律神経機能障害の有無を非線形解析を含めた方法を用い検討すること。【方法】対象は複雑先天性心疾患術後症例(心内修復術後のファロー四徴症及びフォンタン手術後症例):CHD群 13例(年齢中央値20.1歳: 10.2-44.9歳)と正常対照:N群 16例(年齢中央値33.6歳: 23.9-38.9歳)。2020年8月から2021年2月に小型心電計を24時間装着し、睡眠中の心拍データを解析した。周波数解析と時間領域解析はMemCalc system(GMS Co. Ltd., Tokyo, Japan)を、非線形解析はMatLAB上の独自のプログラムで解析した。周波数解析として超低周波成分:VLF、低周波成分:LF、高周波成分:HF、LF/HF比、時間領域解析としてRR間隔の標準偏差:SDNN(ms)及び隣接するRR間隔の差の二乗の平均値の平方根:RMSSD(ms)を求めた。非線形解析ではフラクタル解析としてlog powerとlog frequencyのpower spectrumの値を直線近似の傾き:slope βで求め、ポアンカレプロット法による縦軸及び横軸方向の標準偏差:SD1及びSD2を求めた。【結果】周波数領域解析ではVLF及びHFはCHD群がN群より低値であった。(p<0.001 及びp=0.006) SDNN及びRMSSDはCHD群がN群よりも低値であった。(p=0.001 及びp=0.012)。slope β、SD1及びSD2はN群がCHD群より低値であった。(p=0.001、0.033 及び0.002)。【結論】CHD群は潜在的な自律神経障害を生じている。今後さらに症例数を増やして検討を重ねる必要がある。