[OR23-1] 左冠動脈肺動脈起始症における術後遠隔成績の検討 -手術時年齢による遠隔成績の違い-
Keywords:左冠動脈肺動脈起始症, 手術時年齢, 遠隔成績
【背景】左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)の遠隔期における左室機能の回復は手術時年齢に依存しないと言われているが,未だ議論が多い.【対象・方法】2003年~2018年に当院で手術を行ったALCAPA 11例を対象として,手術時年齢が1歳未満の群 (Y群) と1歳以上の群 (O群) に分けて遠隔成績を比較した.Y群4例,O群7例.手術時年齢中央値: Y群4.2 (1.7-4.9)ヵ月,O群93.6 (12.1-116.9)ヵ月.手術時体重中央値: Y群4.5 (4.2-5.5) kg,O群17.4 (5.8-27.8) kg.冠動脈は全てreimplantaion法で再建した.【結果】術前左室駆出率(EF)平均: Y群32.9±7.4%,O群53.2±17.0% (P=0.07),術前左室内径短縮率(FS)平均: Y群0.14±0.04,O群0.25±0.11 (P=0.09).術前僧帽弁逆流(MR)の程度を1: trivial,2: mild,3: moderate,4: severeと数値化すると,平均値でY群2.3±0.5,O群2.2±1.1 (P=0.92)であった.術前のMR介入(+)はY群0例,O群1例,僧帽弁の同時手術(+)はY群1例,O群2例.手術時間・人工心肺時間・大動脈遮断時間の平均はいずれも両群で有意差なし.二期的胸骨閉鎖: Y群2例,O群0例.平均人工呼吸器装着期間: Y群38.8±67.5日,O群1.4±0.8日 (P=0.013),平均ICU滞在期間: Y群18.3±21.1日,O群2.9±1.2日 (P=0.026),平均在院日数: Y群65.3±91.5日,O群8.1±4.2日 (P=0.015),観察期間中央値11.2(1.8-16.4)年において両群とも病院死亡,遠隔死亡はなかった,再手術はO群で僧帽弁置換術1例.術後遠隔期における平均EF: Y群73.3±2.0%,O群73.8±8.0% (P=0.53),平均FS: Y群0.38±0.04,O群0.39±0.06 (P=0.57),MR: Y群0.9±0.5,O群1.4±0.9 (P=0.29),左室拡張末期容積(% of N) : Y群146.8±31.6%,O群98.7±26.1% (P=0.03),左室拡張末期圧: Y群9.0±3.6mmHg,O群9.5±2.3mmHg (P=0.79).【結語】Y群はO群と比較して術後遠隔期の左室拡張末期容積が大きい傾向があり,長期に渡ってより慎重なfollow upを必要だと考える.