[OR23-3] 新生児・乳児期に二心室修復を受けた患児の神経発達特性の検討
Keywords:神経発達, 二心室修復, Bayley乳幼児発達検査
【目的】新生児から乳児期に二心室修復を受けた先天性心疾患児の術後神経発達の特徴を評価する。【方法】2016年から2019年で乳児期までに二心室修復を受けた患児に対し、術後6ヵ月以降にBayley乳幼児発達検査第3版(Bayley-3)を用いて神経発達評価を行った。症例は13例で心室中隔欠損(VSD)5例、ファロー四徴症(TOF)4例、完全大血管転位(TGA)4例。検査は小児科勤務で、発達検査のトレーニングを十分に受けた2名の臨床心理士が行った。認知、言語、運動の合成得点、言語領域と運動領域を2つの尺度に分けた尺度得点を用いた。疾患群間の比較には分散分析(one-way ANOVA)を用いた。文献より日本人で正期産、正常児の12カ月、36カ月時、低出生体重児の18カ月時のBayley-3の得点を対照とした。【結果】在胎週数38.3±1.3、出生時体重3015±523 g。手術時日齢は180(8-433)。検査時月齢は21±4、体重は9.8±1.3 kg。合成得点は、認知84.6±10.1、言語78.8±10.6、運動87.5±11.7で、尺度得点は、受容言語6.5±2.6、表出言語6.2±1.4、微細運動8.8±1.7、粗大運動7.1±3.5であった。VSD、TOF、TGAの疾患群間で合成得点、尺度得点に差は認めなかった(認知、p= 0.81;言語、p= 0.90;運動、p= 0.97;受容言語、p= 0.83;表出言語、p= 0.88;微細運動、p= 0.11;粗大運動、p= 0.50)。【考察】合成得点は、認知、言語、運動の全領域で正常児より低値を示し、低出生体重児と同程度であった。合成得点の正常下限を85とすると、認知はボーダーライン、言語は下限を下回った。手術時期・侵襲は異なるものの、VSD、TOF、TGAの3群間では、神経発達評価に差はみられなかった。【結論】新生児・乳児期に二心室修復を受けた患児は、2歳前の時点で神経発達の遅延を認めた。特に言語でその傾向が著しく、当結果を踏まえた患者教育、介入プロセスの整備が望まれる。