[OR26-2] ファロー四徴症術後のPQ時間延長は頻脈性心房性不整脈発症の予測因子となる
Keywords:心房性不整脈, ファロー四徴症, PQ時間
<背景>ファロー四徴症(TOF)術後遠隔には頻脈性心房性不整脈(AT)が頻発する。<目的>TOF術後遠隔のATの危険因子を明らかにすること。<方法>当院で経過観察中の15歳以上のTOF術後患者を対象とした。評価項目としては最終受診時あるいはAT発症時から遡って3年以内の各種検査結果を使用した。心臓MRI結果より右室拡張末期容積係数(RVEDVI)、右室収縮末期容積係数(RVESVI)、右室駆出率(RVEF)、左室拡張末期容積係数(LVEDVI)、心電図結果よりPQ時間(PQ)、QRS時間(QRS)、12誘導中のfragmented QRS数(f-QRS)、さらに根治手術からの経過年数について、AT発症のハザード解析を行なった。尚、完全房室ブロックに対するペースメーカ植込み例は除外した。<結果>対象は144例で年齢平均31.6歳(範囲9.6-52.7)、手術後経過年数 21.2年(0.2-42.9)、RVEDVI 133(43-303)、RVESVI 73 (9-201)、RVEF 46%(12-79)、LVEDVI 75(31-148)、PQ 179ms(106-388)、QRS 154ms(95-267)、f-QRS 2.4/12個(0-9/12)であった。AT発症者は44例(31%)(心房頻拍32例、心房粗動14例、心房細動3例)であった。多変量解析では、手術後経過年数(HR:6.7, 95% CI: 1.18-17.6)とPQ (HR:2.7, 95% CI: 0.78-7.2)が独立したAT発症の危険因子であった。PQはRVEDVI (r=0.38, p=0.03)、RVESVI (r=0.34,p=0.03)、RVEF (r=-0.31,p=0.04)と相関関係にあった。経過年数15年以上かつPQ>200msの1度房室ブロック例はreceiver operating curve分析にてAUC 0.658 (陽性的中率 72%、陰性的中率 65%)であった。<結論>TOF術後ATは根治手術後、経年的に増加する。右心系容量負荷により心房内遅延伝導が生じるが、その程度は患者間で様々である。PQはこの心房内遅延伝導を反映している可能性がある。外来レベルで測定可能な項目であり、ATの予測因子として有用である。