[OR26-3] 円錐動脈幹疾患における大動脈複合体形態の特徴
Keywords:Aortopathy, 円錐動脈幹疾患, 大動脈弁閉鎖不全症
【背景】AortopathyはFallot四徴症などの円錐動脈幹疾患を呈する疾患群において特徴的な所見として知られる。これにより、時に重度の大動脈弁閉鎖不全症(AR)を来し、体心室機能を低下させ得る。しかし、同疾患群の大動脈複合体の形態的特徴についての詳細な報告は少なく、確立された手術適応基準も存在しない。【目的】円錐動脈幹疾患における大動脈複合体の形態的特徴およびARとの関連性を明らかにすべく経胸壁心エコーによる評価を行った。【方法】TOF、DORV、TGA成人患者172名を対象にSinuses of Valsalva(SV)、Sino-tublar junction(STJ)、Geometric height(GH)、Effective height(EH)、Coaptation height(CH)の径を経胸壁心エコーで測定した。【結果】描出不良であった16名を除く156名のうち、98名(Group1)はいずれの部位の拡大も認めず、32名(Group2)はSVおよびSTJの拡大、14名(Group3)はSVのみの拡大、12名(Group4)はSTJのみの拡大を呈した。中等度以上のARを呈した7名は全てGroup2に属していたが、重症ARを呈する症例は少なく、GHやEHの相対的伸長がAR抑制に影響していると考えられた。【考察】円錐動脈幹疾患における大動脈拡大はSVおよびSTJの拡大を同時に認める症例が多く、大動脈二尖弁やMafan症候群などその他のAortopathyにおける大動脈拡大と異なる傾向を呈する。また中等度以上のARはGroup2以外で認められなかったことから、SVおよびSTJ両者の拡大がARの進行に関与する可能性が示唆される。【結論】円錐動脈幹疾患ではSVおよびSTJが共に拡大する頻度が高く、それらの症例ではARが顕在化する傾向にある。