The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

周産期・心疾患合併妊婦

デジタルオーラルI(OR28)
周産期・心疾患合併妊婦

指定討論者:篠原 徳子(東京女子医科大学)
指定討論者:赤木 禎治(岡山大学)

[OR28-1] 一次産院を対象とした重症先天性心疾患早期発見のための新生児パルスオキシメトリスクリーニング

熊本 崇1, 峰松 伸弥1, 飯田 千晶1, 松尾 宗明1, 江頭 智子2, 大隈 良譲3 (1.佐賀大学医学部付属病院 小児科, 2.JCHO佐賀病院 小児科, 3.おおくま産婦人科)

Keywords:パルスオキシメータスクリーニング, 先天性心疾患, 新生児

重症先天性心疾患(CCHD)は生後1か月以内に死亡または外科治療やカテーテル治療などの侵襲的な介入を要する心疾患を指し、1000人あたり2.7人の出生と言われている。近年胎児心臓超音波によるCCHD診断率が向上しているが、総肺静脈還流異常、大血管転位、大動脈縮窄症などは出生前診断が難しく、出生後に診断されることも少なくない。現在各国でCCHDを対象としたSpO2スクリーニングが普及し、その有効性について数多く報告されているが、本邦では2-3次施設での研究が主なものであり、一次産院施設での検討はほとんどない。今回一次産院施設を対象とした出生後SpO2スクリーニングを行いその結果について報告する。【方法】2019年4月~2021年1月までに対象産院施設で出生した新生児全例に1)出生3~6時間後、2)日齢1、3)日齢2とSpO2測定を行い、スクリーニング陽性のため紹介となった例を陽性群、それ以外の新生児を陰性群とした。【結果】対象新生児943例。陽性群:8例、2例が真陽性で1例は総肺静脈還流異常IIa、他一例はファロー四徴症であり、前者は月齢1に外科治療、後者は流出路狭窄が強く新生児期にカテーテル治療を要した。6例が偽陽性であり、うち5例が新生児一過性多呼吸、1例が新生児無呼吸発作であった。いずれも紹介前に酸素を使用しており漸減または中止するとSpO2が低下することを理由に紹介されていた。陰性群:936例、そのうち11例が1か月検診で心雑音を指摘され小児循環器が常在する医療機関へと紹介されたが、VSDや末梢性肺動脈狭窄などの非CCHDであり偽陰性例は今回の検討では認めなかった。【考察】本スクリーニングではCCHDの早期発見のみならず周産期異常を伴う新生児疾患の検出も行えたと考え、今後は県下の産院、2-3次医療機関産婦人科・小児科含めた多施設共同研究を展開していきたい。