[OR28-2] フォンタン患者の妊娠出産管理における計画的早期娩出の是非
Keywords:フォンタン患者, 妊娠出産, 計画的早期娩出
【緒言】フォンタン患者の妊娠・出産は禁忌ではないが、長期予後は未だ不明である。一方でフォンタン循環はいつかは破綻するとされており、進行する循環不全・他臓器への障害は避けようがない。当院では、患者の20年後をイメージし、妊娠出産イベントにより母体の状態を悪化させない管理として、新生児科・産科・集中治療科との協議の結果、一貫して計画的早期娩出を行ってきた。その結果・問題点を報告する。【結果】2013年から2020年に妊娠管理を行ったフォンタン型手術後患者は8名。6名が出産に至り、1名は14週で流産、1名は20週で子宮内胎児死亡が確認された。出産前にワーファリンをヘパリンに切り替えたのは3名で、5名はアスピリンのみで管理した。出産した患者の平均年齢は27.8歳(19-35歳)、非妊娠時のSpO2は平均91%(85-95)、NYHAはI度2名、II度が3名、II~III度が1名。平均出産時週数は31週(29-33)、児の体重は平均1401g(1070-1672)であった。出産前の入院時期は平均25週、2名は計画的に28週で入院したが、他は切迫、絨毛膜下血腫、羊水減少など産科的理由からであった。出産のタイミングは、緊急の状態にはしないよう各科相談の上で決定した。出産後はSpO2<85%の1名を除き10日程度で退院し、児が退院するまで体調を整えることができた。出産後のNYHAの悪化はなく、III度程度の状態であった1名もII度となった。出生した児の年齢は、現在平均4.3歳(2ヶ月~7歳10ヶ月)、3歳~7歳の4名については、発達はおおむね良好であるが、「落ち着きがない」と言われて療育を勧められているものもあり、さらに長期的な経過観察が必要である。【結語】母親は短期~中期的にはフォンタン術後としての状態の悪化はないが、児については今後も経過を見守る必要がある。患者の挙児希望には全面的に協力したいと考えるが、育児も含めた長期的予後を考えると、人生設計や死生観についても配慮していかなければならない。